モテキ : 映画評論・批評
2011年9月20日更新
2011年9月23日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほかにてロードショー
サンプリングの名手が遊び心たっぷりに仕上げた新恋愛エンタテインメント
「誰かのモテキになる!」という森山未來演じる幸世のアツい決意表明で幕を閉じた、TVシリーズのエンディングから1年後。まさかのセカンド・モテキを描いた本作は、原作コミックのネーム(絵コンテ)から大根仁(おおね・ひとし)監督自らが脚本化したオリジナルストーリーだが、幸世のちょっとした成長譚が軸にあるので、初心者もすんなり入り込める仕組みだ。
TVシリーズ同様、劇場版もインパクトあるセリフで描かれる男女の恋愛絵巻のなか、メインカルチャーとサブカルチャーを行き来する音楽、映画、コミックが、大根流にサンプリングされ、スクリーンに炸裂する。
カラオケビデオ風な「格好悪いふられ方」(歌:大江千里)に、「Baby cruising Love」(歌:Perfume)を使った「(500)日のサマー」のミュージカルシーンへのオマージュなど、映像と音楽がシンクロした名シーンもパワーアップ。
また、「走れ!」(歌:ももいろクローバー)に感化された幸世に、真木よう子演じる上司が飛び蹴りを食らわせてアイドルソング(の歌詞)を冷静に批評するシーンや、「ウェインズ・ワールド」のロブ・ロウを意識した恋敵・金子ノブアキの悪役っぷりなどは爆笑必至だ。
そして特筆すべきは、大根監督が“最終兵器彼女”と称した長澤まさみの尋常じゃない可愛さ。これはTVシリーズに合わせてヒロインを4人に設定したムリヤリ感がどうでもよくなるほど!
ワンシーンワンカット、作り手の想いと遊び心が詰まった、まったく新しい恋愛エンタテインメントの誕生だ。
(くれい響)