モテキ : インタビュー
森山未來、迫真のキスシーンで至った到達点とは?
サブカル好きなモテない草食系男子・藤本幸世に思わぬモテキが到来、さまざまなタイプの女性に翻ろうされる姿をコミカルに描いた久保ミツロウの大ヒットコミックを、森山未來主演で昨年ドラマ化。深夜帯の放送にも関わらず、異様なほどの盛り上がりを見せた「モテキ」が、スクリーンに登場する。ドラマの世界観はそのままに、幸世の妄想、そして共演する豪華女優陣とのラブシーンはパワーアップ!ドラマから1年後、幸世の成長ぶりを森山が語る。(取材・文:編集部、写真:本城典子)
映画では、ドラマ版での女性たちとの出来事を振り返りながら、相変わらず彼女もなく31歳になった幸世が派遣社員を卒業。趣味と知識を生かし、エンタメ系ニュースサイトに就職し、ライターとしての新生活をスタートする。Twitterで意気投合した美人編集者のみゆき(長澤まさみ)に出会い恋に落ちるが、もちろん一筋縄ではいかず、そのほかタイプの違う3人(麻生久美子、仲里依紗、真木よう子)の美女が現れ幸世を悩ませる……。
「モテキ」の人気は、まずは藤本幸世というキャラクターの魅力なしには語れない。好きな音楽や漫画にはオタク並みの知識を持ち、人一倍恋愛に夢を抱いているものの、自信のなさとひねくれた自我により、女性との関係でことごとくドツボにはまっていく姿が笑いあり、涙ありで描かれる。森山はそんな幸世を「いわゆる中二病」ときっぱりと断言する。
「中学校二年生だったことがある人は、誰しもこういう感情っていうのは持ってたことがあると思うんです。それを大人になってこじらした人を中二病と呼ぶんですが、もちろん僕もすごくわかるんですけど、僕はここを卒業したいな、やめたいなっていう頃合いでもあったり。そうしたら、また引き戻されて……まあドラマから映画に至るまでずっとその感情は続いているので。これですっぱり、けじめがうまくつけばいいのかなと(笑)」
恋愛経験の少なさから、女たちの一挙一動に過剰反応する幸世。胸をえぐられるように恥ずかしい自意識を、たたみかけるようにハイテンションなモノローグで語る。演技とはいえ、そんな男の内面を演じることに、照れる気持ちや抵抗はなかったのだろうか。
「何か、そういうところはドラマをやっているうちに麻痺(まひ)してしまった部分ですね。大根(仁)さんと久保さんふたりが経験してきた、“痛い恋愛あるある”みたいなのを詰め込んだ良質な作品。でもどうして僕が2人の重い思い出を引き受けなきゃいけないんだろう……っていう気持ちにもなったりしましたね(笑)」
ドラマ版で話題となったのが4人の女優とのキスシーン。映画では新たなキャストと、エロティックなキス、そして胸タッチ……とさらに臨場感あふれるラブシーンを演じている。
「去年から今年にかけて、のべ8人ぐらいとキスシーンをやらせてもらいましたね。今回は泥の中でキスをするっていうシーンがあるんですけど、なんかもうそこで初めて、自意識が崩壊した気がしました。下着から何から泥まみれでしたし、大根さんは(泥を)顔につけろってうるさいし(笑)……。そのままにキスシーンに入ると、お互いジャリジャリするんです。そんな中で自意識も何もないっていうところまでこれたのが、ある種モテキの一つの到達点かなと思いました(笑)」
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