「元々ムリやったんや~っ!」宇宙兄弟 ヤマモトさんの映画レビュー(感想・評価)
元々ムリやったんや~っ!
単行本何十冊にもなるストーリーを2時間にまとめるなんて・・・
圧倒的に尺が足りません。
どうしても原作の素晴らしいところを一つ一つピックアップしてきて作りましたよと言う感じ。そしてやむを得ないのでしょうがカットしており、そこをカットしていいのか??という部分が多数・・・
そりゃね、原作を読んでいる人からしたら許せないでしょう。我慢できないかも知れません。怒っちゃう人もいるかも。
私自身は原作映画化については寛容な方だと自分で思ってますけどね・・・
私は雑誌「モーニング」で現在も連載中の原作をずっと読んでおります。単行本は持ってないので細かいところは覚えて無いですけど。
原作を読んでない人なら星はもう一つ増えるかも知れません。だとしても後半の駆け足っぷりは異常に映るのではないですかね。
色々感想を書きたいと思います。
・六太(むった)の頭突き
原作ではさらっと一コマ。説明も「弟のことを悪く言いやがった上司」だからとだけ。表現もコミカルで大した問題にも見えないのですが、実写で見るとヤバいっすね。あの程度の弟の悪口でキレて上司にドカッと暴力をふるう六太。「なんやコイツ・・・こわ・・・」となりますよ。こんな危ない奴と同じチームで宇宙船には乗れないわ~、くらいのインパクト。
・椅子のネジ
実写で見たらメチャクチャ目立ちますね。座りながら椅子のネジを閉めるシーン。あれに気付かずに「え?そんなことしてましたか?」みたいなことを言う面接官はどうかしてます(笑)
・六太の優秀さ
六太って自分に自信の無いキャラですけど、実はすごく優秀。日本にずっといたのに英語ペラペラですしね。原作の「コロコロ六太」は出てこなかったですけど、周りの人をよく観察しているね、と教官が評価しているシーンは描けていて良かったと思います。
・グリーンカード
時間が足りないですよね。グリーンカードをもらったのは六太とケンジの二人だけのようですが、それはまあいいでしょう。しかしどうしてもいただけないのは、ケンジが「犯人が分かったら握手しよう」と言っていたのに握手のシーンが無かったんですよ??
これは相当びっくりしました。どうした?忘れた??
「もっと宇宙の話をしよう」のシーンは良かったと思いますけどね。
・日々人(ひびと)の月でのアクシデント
いやあ、これはヤバいね。何がヤバいって色々ヤバい要素がてんこ盛りですわ。
まずこのクレーターにバディと一緒に転落した大事故。原作にはなかった足のケガまでしている。ここからどうやって助かったのですか??そこ省きます??
六太に連絡が来たけど六太は月を見上げて「自分にはどうにもできない」と無力感を嘆くだけ。それじゃ弱いでしょう・・・。
原作のように六太の力も日々との生還に重要な役割を果たしたシーンを入れて欲しかったのですが、尺のせいでしょうか、カットですよね~。
そもそもこれじゃ事故自体が軽いものに感じられてしまいます。大したことじゃ無かったのかな?と。
細かい事言うと、日々人がクレーターの中から見上げたシーンで地球が縁からせり上がってくるのですが、なんでしょうかあのバカでかい地球は。あり得ないスケールです。
他にもあの「地球の出」とでも言えるシーンですが、月は常に地球に同じ面を向けて回ってますので、あのように月の地上にいながら地球が地平線から登ることはあり得ないのです。
こういうリアリティ無視、インパクト重視の演出は本当にシラけてしまいます。制作陣が宇宙への愛が無いのかなとか、どうせこれくらいやっても気づかないだろ?大した問題じゃ無いだろ?とかバカにされてるのかな~?とか。適当にやっとけ感が非常に嫌な感じです。
・シャロン
重要キャラなのに出てこなくて残念だ~
・映像
CGとか良かったと思います。迫力ありましたよね。
・ラストシーン
なんで日の丸立ててるねん・・・。どういうシチュエーション?
基本的に文句ばっかり書きましたけど、原作を気にしなければそれなりに楽しめる作品だとは思います。
星は2にしようか迷いましたけどそこまで悪く無いなと思って2.5にしました。
