劇場公開日 2012年5月5日

宇宙兄弟 : 映画評論・批評

2012年4月24日更新

2012年5月5日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

あの手この手で「宇宙へのロマン」をかき立てる構造が素晴らしい

2025年、日本人宇宙飛行士がついに月面に立つ!?

プロットはかなり荒唐無稽だが、監督の森義隆と脚本家の大森美香は、宇宙飛行士になる夢の実現に向け邁進する「月に囚われた兄弟」の物語を快調にドライブさせている。コメディタッチだが、マンガ原作の映画化作品にありがちなはしゃぎ過ぎな面はない。

映画の推進力となるのは、モジャモジャ頭の兄ムッタ(小栗旬)だ。目標一直線で宇宙飛行士になった弟ヒビト(岡田将生)に比べ、彼の人生は毛髪同様にまっすぐではなかった。しかし、先に夢をつかんだ弟の救いの手が転回点となり、彼は宇宙への情熱を取り戻すのだ。後半、宇宙飛行士になるため執念を燃やす姿は「スペースカウボーイ」のクリント・イーストウッドにも似て、最高に楽しい。

圧巻なのは、ロケットのリフトオフ(打ち上げ)シーンだ。SFXも日本映画屈指の出来映えだが、主人公はそこで、とある老人から「宇宙飛行士たちの勇気、管制官たちの情熱、観衆たちの敬意が打ち上げを成功させる」といった心に響く言葉を聞く。そのセリフの主はなんと、アポロ11号乗組員バズ・オルドリン氏。このほか「アポロ13」のトム・ハンクスに“ウィンク”する場面もあって、あの手この手で「宇宙へのロマン」をかき立てる構造になっているのが素晴らしい。

人類の宇宙開発史が示されるオープニングタイトルから爽快無比なラストまで、小栗旬の肉体を通して表現されたその「ロマン」により、映画は常に心地よい微熱を帯びている。

(サトウムツオ)

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