「天パの気合。」宇宙兄弟 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
天パの気合。
ツッコミ所が多い描写なのは、まぁおいといて、
このムッタという兄を演じた小栗旬の上手さには感嘆した。
彼は実際は末っ子で、兄を演じる苦労は並大抵ではなかったそうだ。
でもしっかりと兄貴に見えた(少し頼りないが優しい纏め役という)
弟は真っ直ぐに自分の夢を叶え、兄は夢を諦め現実に身を置いている。
リアルな世界ではよく見る光景だ。
やはり兄は弟より一歩前にいながら、自分本位に進んでいか(け)ない。
親の期待、弟の視線、長男であることの自負。
道を踏み外さないのはいいが、大げさな急成長もみせない(爆)
安全第一に考えるその立場を、小さい頃から擦り込まれるんだよね。
私にも兄がいるのでそのあたりがよ~く分かる^^;
だけどこの兄弟、ホントに仲が良いのねぇ。同性はそこが羨ましい。
本来自分の前にいるべき存在(火星へいくはずの兄)を激励しつつ、
チャラい笑顔で語りかける弟のヒビト、これまた岡田くんが上手い。
マンガには到底及ばないらしいが(原作未読)、子役も含めて彼らの
配役は悪くないと思った。むしろ清々しいほど似あっているな~と。
大泉洋が適役というご意見(これはこれで観てみたいけど^^;)には多分
彼が天パ(天然パーマ)だからという見た目要素が強いと思うんだけど、
この小栗&岡田兄弟も、揃って天パですからね~(ホントです、自毛よ)
子役は違うんだろうけど^^;、頭からして気合入ってるじゃないですか。
しかし泣けたのは…弟が月へ飛び立つ会見映像を見ながら、マックで
バーガー片手に意気消沈してる兄(爆)
自分だって(夢は叶わずも)そこそこ頑張って新車開発に意欲を見せて
いたのに、あの結果は(まぁそれが転機を生むとはいえ)あんまりよね。
ところがクサらず(そんなヒマないだろうけど)転職就活に励む兄。
兄とは、そんなところで破滅してらんない立場なんだよね、ムッタ君。
多くの人間と関わり、多大な挫折も経験しながら生きてきた兄だから、
あの試験(ここホント長いです^^;)での彼の行動にいちいち納得できる。
大森美香の脚本は(最近彼女の対談番組を見たせいか)、転職を繰り返し
ながら、天職を得た彼女自身の物語に繋がっている感じがした。
前向きな意欲と、好きであることへの情熱は、何物にも代えがたい。
小さい頃からの夢(ホント月に囚われた男兄弟だもんね)を語らせたら、
二人がおんなじことを言った、というエピソードもだろうなと思える。
なんか色々な場面設定や、試験内容のエピソード、弟の月での事故、と
話の展開には事欠かないが、観終えて残るのは兄弟の笑顔と足跡のみ。
(あ、オルドリン氏すいません^^;)
それ以上でも以下でもない。
あぁ~いいよねぇ、兄弟ってやっぱ。と、いる人にはそれなりに(爆)
兄や姉への感謝、弟妹への愛着、が浮かび、
ひとりっ子の方にもそれなりに…義兄弟への契りが、(あ、話が違った)
というわけで^^; 観て損はない作品かと思います。天パ万歳v
(森下愛子(母)もかなりハジケてましたねぇ。塩見三省の福田さんも好き)