アリス・クリードの失踪のレビュー・感想・評価
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あとから追加される情報で予期せぬ展開へ
知らないキャストと知らない監督の作品だと思っていたら、かなり面白かった「パーフェクトケア」のJ・ブレイクソン監督作品だった。
2作品しか観ていないが、脚本も手掛けるブレイクソン監督の特徴は、突然明かされる驚きの展開だろう。
本作でいえば、誘拐されるアリスクリードと誘拐犯の一人ダニーが顔見知りであったことと、誘拐犯の二人ダニーとヴィックが恋仲であったことだ。
それぞれ中盤と終盤に明かされるわけだが、このおかげで最初の設定から考えていたような展開にはならず、予期せぬ方向へ物語は進んでいくところが面白い。
しかし、急に明かされる裏設定のようなものなので受け入れられず気に入らないなんて人もいるだろう。ぼくの考えてた展開と違う!みたいなね。
登場人物は3人だけ。限られた中で最大に違和感とスリリングさを演出したように思う。
違和感というのがとにかく効いてる。衝撃の事実が明かされる前から、なんかちょっと色んなところでぎこちなく、裏がありそうな雰囲気が充満している。
冒頭の、誘拐までの下準備のシーンも面白かった。一言もしゃべらず手慣れたリフォーム業者のように黙々とこなす。本当にただのリフォーム業者の動きだがBGMによってサスペンスシーンに見えるのだから、映画における音楽の重要性を再認識した。
あとは、タイトルになっている「アリス・クリードの失踪」は、この作品が終わったあとのことを指していたね。
大金を手にし何処かへ消えたアリス。
第一の展開。逃げようとしたアリスがダニーの銃を奪い発砲。恐れたダ...
第一の展開。逃げようとしたアリスがダニーの銃を奪い発砲。恐れたダニーは正体を明かす。ダニーとアリスは恋仲だった。父親に勘当され憎んでいたアリスのためを思っての計画発案だった。
第二の展開。ダニーと親分肌のヴィックはホモセクシュアルの間柄だった・・・
第三の展開。ダニーとセックスしようと誘っておいて、逃げ出そうとするアリス。ダニーに手錠をかけ、警察に連絡するが、鍵のありかがわからない。しかし、今度はダニーが優位に立ち、アリスに銃口を向ける。2人でヴィックを出し抜こうという計画もこれで崩れてしまった。
結局、交渉のために外出していたヴィックが戻ってきて、異常に気づく。アリスを問い詰めたところ、ダニーが裏切って金を独り占めしようとしていると告げ、ヴィックはダニーを殺そうと考えるのだ。撃たれたダニーは命からがら、金をせしめたヴィックと別の場所に移されたアリスの元へ。そして、格闘の末、ヴィックを撃ち殺すが、結局はダニーも逃走中息絶える。脱出したアリスは悲しみに暮れるものの、一人で金を持って逃亡・・・タイトルにある“失踪”とはここから始まるんだな。
登場人物は3人だけという見事なワンシチュエーション犯罪ドラマ。だけど、後味もよくなく、得るものもない。ただただ役者の演技が光るだけ。登場人物が少ないおかげで、それぞれの心理描写がわかりやすく感情移入しやすい。それだけ。薬きょうを飲み込んだダニーの苦しみがもうちょっと伝わってくれば良かったのに・・・
文字通りの失踪
一回レビュー消えてやる気なくなって放り出してたので
もう記憶もあいまいです、もういちど書きます。
疑問に思ったのは『真実の愛はどっちか?』です。
みなさんも思ったと思います。
元々アリスとダニーは恋人だったが、恋人関係が解消せず
ダニーが刑務所に入った為、自然消滅の形に。
そしてダニーはヴィックと出会う。
この出会いはヴィックがダニーを刑務所で助けた、というプラスの方向です。
刑務所を出所した後、一緒に暮らすという約束で二人で共謀し、
ダニーの知り合い(元恋人)アリスを身代金目的で誘拐する。
以上が前提。
【アリスが銃を奪わなくても、ダニーは計画を打ち明けたか】
アリスに計画を打ち明ける機会はこれより前に何度かありました。
「今まで打ち明けなかった」のはリアリティを出すためとダニーは言いますが
打ち明けるつもりが本当にあったのでしょうか?
ダニーがアリスに説明したように、金の為だけに男とねんごろになって、その男は犯罪に詳しくて、しかも自分を裏切らないように一緒に暮らす約束までする、
と面倒なステップ踏んでアリスに尽くすような事をするでしょうか?
いくらなんでも、危険な状態に置いて自分の恋人を犠牲にするでしょうか?
アリスに対して愛はなかったと推測できます(アリスにも無かったでしょうし)。
しかし、それがヴィックへの愛を裏付ける証拠にはなりません。
もしかしたら、刑務所の中で守ってもらうために取り入ったのかもしれません・・・
が、なんやかんやで真実の愛はヴィック、に一票です。
二人とも死んでるし、心中みたいなものです。
それに死に際に愛情感じたんですね。
アリスが死んでたとしてもヴィックと一緒に行ったでしょうけど、
ヴィックが死んだらアリスを置いて行った。
むしろ同士討ちをさせる原因となったアリスを憎むような目で置き去りです。
おもしろい映画でした。
小さくて痩せている?のか。
名画座にて。
まずタイトルがおかしいのに気がついた。
これ、誘拐話なんでしょ?なんで失踪なの…?と。
その予感は見事に的中しますので、これから観る方は
絶対おかしいと思っておいた方がいいですよ。観る気なら^^;
アリス役を演じるG・アータートン、007の時はもっと綺麗に
見えたんだけどなー^^;すごく残念なほど、不細工(ゴメンね)
これワザとなんでしょうね、お嬢さまには見えないって意味で。
誘拐されたお嬢さまの恐ろしさを顔面蒼白で演じているため、
マスカラは剥げるわ、鼻水は出すわ、すごいんだもう~顔面が。
一気にストリップまでやってますが(肉付きがすごくいいの)
小さくて痩せているから?なんていう台詞には少し驚いた^^;
犯人役が二人。巧いですね~この二人も。
E・マーサンとM・コムストン。完璧に思えたこの計画が…。
とにかく三人しか登場しないこの作品は、いわば心理戦。
犯人二人と誘拐された一人が、騙し合い、鬩ぎ合い、喚きあう、
結末の見えないところが面白い、という触れ込みでしょうが…
面白いのはほぼ冒頭のみ(爆)
この犯人とアリスの関係性が全く分からないまま、とっても
テキパキと犯罪が進んでいくのはなかなか観応えがあった。
が、いわゆるそのアッと驚く(というか、ないだろ普通)真相が
明かされるとどんどんヒートダウン、やがて三人の運命が絡む
後半あたりでは、もういいって。なんて感じにもなってしまう。
誰にも共感させないこのキャラ設定は、意図したものなのか^^;
発想と展開如何では面白く作れそうな三人劇なんだけど、
だんだんと収拾がつかなくなってそればっかり(爆)になって、
なんの意外性も持たなくなってしまった感じ。勿体ないなぁー。
(用意周到なわりに、ズッコケてしまった誘拐犯のような作品)
泡沫(うたかた)の、夢
本作が初監督作品となるジェイ・ブレイクソン監督が、「007」シリーズでボンドガールを務めた経験をもつジェマ・アータートンを主演に迎えて描く、サスペンス映画。
無理やり観客を驚かせるために、切って貼ったような時間軸操作に全力を注いだり、目が疲れるハンディカメラ撮影で画質を落としたりしなくても、切り詰め、磨き上げた台詞と描写さえあれば上質のサスペンスは成立する。本作は、この推論を断定へと導く最たる例として挙げることができるだろう。
冒頭、誘拐犯二人が着用する服。その襟元には、自分で結ぶタイプではなく、フック式のネクタイ・・・そうか、彼等は決してネクタイを結び慣れていないのかも。女性の服・・・富豪の娘にしてはどうも。もしや、何か訳ありかも。
難解な哲学の如き用語を嬉々として並べ立て、観客の思考回路ばかりサスペンスへと陥らせる意地悪な作品とは一線を画す仕掛けが明解に働く。作品世界の想像において、画面に映り込む些細な描写を通して、観客への正確な、それでいて分かり易い認識を促してくれる、繊細な作りが非常に好印象を与えてくれる。
作り手自身こそ、専門用語が乱れ飛ぶいたずらっ子サスペンスに不愉快な思いを抱いていた同士であると私は、感じる。
大金を手にし、人生の成功者を夢見た二人の男。彼等は用意周到に計画を練ったのだろう、こんな失敗があるかも、こんなミスも在り得る云々。犯罪者のレッテルから逃れようとして始まった犯罪の顛末に映り込むのは、高級車をかっ飛ばす一人の富豪の娘。なんと皮肉。
疾走感とむせ返るような緊張の重圧を組み立て、重ね、観客に息つく暇を与えない、泡沫の夢のもろさに胸が震える正統派の犯罪劇。
何やら、古き良き古典犯罪映画のような、甘く切なく薫り立つ色気に心躍る作品である。
単純な設定が複雑怪奇な接点を繋ぐ面白さ
舞台は監禁部屋のみで、登場人物は、人質の女性と2人組の犯人だけという極端に限られた設定ながらも、3人それぞれの人間関係が丁寧に張り巡らせれており、主導権が二転三転していき、奥深い構造に仕上がっている。
ポロッとこぼした一言が立場を大きく左右していき、疑心暗鬼となる不安定感が今作の魅力やと思う。
弾丸や携帯電話etc.の小道具を用いたトラップもテンポよく仕掛けてあり面白い。
ただ慌ただしく騙し討ちのシーソー合戦が繰り返されると、途中でクドく感じてしまう。
オチも薄々読めてたし。
第一、若者が2人に対する接点は明らかに矛盾が多い。
細かくバラせないのが残念だが、出逢いの時期とか繋がり方は無理やりの一言に尽きる。
んまぁ、私は人質役のジェマ・アタートン嬢が可愛かったから別にエエけどね。
最初はメイクがキツめで「どこが令嬢やねん」
って思ったけど、
いざベッドに拘束され、虐げられるシーンとなると一気に魅力的に感じた。
あのムチムチした身体はSM好きには堪んないね。
かの名作漫画『てんで性悪キューピット』での伝説的エピソード《まりあ絶体絶命!の巻》が蘇ってしまった。
もし、私が犯人なら、金の受け渡しが無理そうやと察した時点で、金倉君モードに切り替えて楽しむけどね。
「嵐ですよ〜。ぶわぁ〜♪」
とか言うてね。
せっかくのシチュエーションやもの。
勿体無い。
《総論》
結局、オスなんざぁ金欲より性欲に走る生物である。
相変わらずしょ〜もない結論で〆たところで最後に短歌を一首
『愛と嘘 鎖連ねて 鍵を噛む 引き金に帰す(kiss) 生贄の価値』
by全竜
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