秒速5センチメートル(2007)のレビュー・感想・評価
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誰もが遊び人に堕落してしまった。
10年前に既に私は40歳かと思うと愕然だが、そんな2007年の新海誠第三作。dTVで閲覧させていただく。その後の『言の葉の庭』のほうを先に観てしまったので、その時のアニメでこんな風景描写がされるのかと言う驚きは緩和しているが、この映画も独特な雰囲気がある。桜の落ちる速度のタイトルでも、雪の舞いの速度の描写だけでも感性に触れて来る。公衆電話にISDNと書かれてある。ロードムービーになり、貴樹が明里のいる栃木県まで電車を乗り継ぎ、約束時間が遅れてしまい必死で急ぐが、時代背景がわからないが、携帯スマホは無いのかと今では思ってしまう。それがまだ無い時代からの話なのだろう。3作連作の形式でもある。主題歌が山崎まさよしの良く知られている曲である。まだ観ていないのだが、『君の名は。』の大ヒットは着々と準備されていたのだろうと思わされるのは、『言の葉の庭』でも思わされていたが、13歳で主人公の二人のキスシーンは早熟すぎて好きではないので、評価をここで落とす。惜しかった。極端に評価するので、私の評論方法はそこでアウトにするのだ。男よりも女のほうを落としてしまうのだ。これで怒るような女は程度が低いので気にも留める必要はなかろう。ただ毛布にくるまっていただけで性行為にまで至らなかったのは作者の良心だろう。それから堕胎のような話になったら新海の世界が放射能汚染の海になってしまっただろう。2話に移るが、どうでも良すぎる事だが、私も高校は弓道部だった。
貴樹のほうでも、東京から鹿児島に転校した先で憧れてくれるクラスメイトがいた。鹿児島県で会った花苗のほうが貴樹には合っていた感じがする。コンビニで種子島コーヒーパックまで出ている細かさなのに鹿児島弁が無かった。ここで携帯が出てメールが出ている。満天の星などは細かい。高校生辺りでかなり異性に対してのコンプレックスが生じる人達が出て来る難しい時期なのだろう。だいたい、そこから器用に出来ずに、30代以上までひきずってしまう人も多いし、私もそれで狂わされている人生である。それはひどい状況が続くのである。自然にやっているようで高校生から必死な状況である。だがそれで別れてしまう所に、実は不自然があるのではないか。寿命は延びながらバランスを崩している。この作品では、貴樹には花苗で十二分だったのに。ここで調べてもしまったが、だいたい明里にこだわりすぎた悲劇の予兆があるが、男性として誠実なだけなのに、それが悲劇になるのである。逆に遊び人や軽い人間だったら花苗と交際していただろう。花苗のほうも軽い人間では無かったのである。3話めで社会人となっている。心なしか雪の落ちる速度が速い感じがした。既に明里は結婚していた。貴樹と3年間交際した水野という女性は、「1000回メールし合っても心が1センチほどしか近づけなかった」とメールに残した。残り1センチに明里があった。罪は明里のほうにあるのではないのか。明里のように変わってしまう女性に思いを残しても社会が混乱してしまうだけではないのか。何人も傷ついてしまう。女性の一筋の思いをする能力の劣化が人間を壊すのではないか。そういう意味で気付かされはするが、肯定できる映画では無かった。簡単に言えばやり逃げ社会の映画となってしまった。『ニューシネマパラダイス』も同様なモチーフを持っていたと思うが、誠実なようで不誠実の固まりの映画になってしまった。水野にしたって。婚外性交や婚前性交の危険性がある。ただただ花苗がそんな事も無く、幸せになっている事だけを願いたい映画である。
「ねぇ、秒速5センチメートルなんだって」「えっ、何?」
映画「秒速5センチメートル」(新海誠監督)から。
「ねぇ、秒速5センチメートルなんだって」
「えっ、何?」「桜の落ちるスピード、秒速5センチメートル」
このインバクトのある会話が、最後までスピードを意識させる。
普段の生活であまり意識してなかった「速度」や「距離」が、
鮮明に表現できていて、驚かされた。
「たった1分がものすごく長く感じられ、
時間ははっきりとした悪意をもって、僕の上にゆっくりと流れていった」
「僕たちの前には、いまだ巨大すぎる人生が、
茫漠(ぼうばく)とした時間がどうしようもなく、横たわっていた」と
時間に関する表現があったかと思えば、
「一緒に帰らない?」「今帰り? 一緒に帰ろうよ」と、
高校生の2人が一緒に歩くスピード・距離感がたまらなく心地よい。
(時には、バイクで追っかけるスピード・距離感もあり・・)
また「今、振りかえれば、きっとあの人も振り返ると強く感じた」という
想いの強さだったりもする。
何気なくそしてどこにもあるような風景だからこそ、親近感があり、
感情移入できてしまう、最近の新海作品に注目していきたい。
これこそが新海監督の君の名は。への大きな布石の1つ!
これを最初に観た時は14歳でした。
思い出補正もあり普段使う駅も出てきていたのでそれを入れると★5以上になってしまいます。
秒速五センチメートルでは主人公貴樹と女性の心の距離をメインに描かれています。
登場する女性は3人。ですが、主人公の心の中に終始生き続ける女性が1人います。それが主人公の初恋の相手である篠原明里。
第3章までありますが、主人公の心の中には篠原明里がずっと住んでいます。そしてその思い出とともに成長していきます。
第1章では舞台は東京と栃木県岩舟駅周辺。
小学生の主人公貴樹と明里はそれぞれが転勤族で転校には慣れていた。
たまたま同じ学校で過ごすことになった2人は同じ境遇だったお互いを他のクラスメイトとは別の感情で接し合うことになる。
貴樹と初恋の相手明里の初々しい関係がこれから立ちふさがる2人の運命と共に描かれます。
恋未満の状態から、この感情は恋だったのだと確信する主人公貴樹にとって、中学に上がる直前の明里の引越しと、中2に上がる直前の自分の鹿児島への引越しは余りにも残酷過ぎた。
二人の生活する距離は離れていても心の距離だけは離れまいとする2人ですが、栃木と鹿児島は少年少女には遠過ぎたようです。
2章では明里は貴樹の回想の中でのみ登場します。貴樹はまだ明里のこと好きな模様。
3章になり大学に上がって単身東京の昔住んでいた場所の近くに戻ってくる貴樹ですが、その時点で明里とは手紙をやり取りする習慣は無くなっています。
本当に今でも好きだったら「東京に戻ってきたよ〜」とかいう手紙でも送ればいいのに、とか思うんですが、貴樹も過去は想い出としてしまっておいて新しい生活に臨もうと思ったんでしょうね。(後は、明里には明里の生活があると思って遠慮してしまったとか。)
そして就職、プログラマー/システムエンジニアとして活躍する貴樹ですが多忙な毎日に精神が日に日にすり減っていきます。
3年間付き合った彼女にもフラれ、会社を辞め、自宅で仕事をするようになった貴樹に再び現れたのは明里らしき女性でした。(てか明里。別の男性と婚約済み。)
1度、2度、3度。思い出してはもう昔の想い出だと押し殺してきた初恋の女性明里でしたが、再開した場所が最悪だった。(自分は魔の踏切と呼んでます。)
踏切ですれ違った2人ですが振り返った瞬間に電車が来てしまい(それも対向車も来たので2本連続)電車が踏切を通過した後明里はいませんでした。
貴樹は少し苦笑し、前も向き直って歩き出す。
こうしてこの作品が終わります。
最初観た時「なんだこの切なくて悲しいバッドエンドは!!」と幼いながら思いましたが何度も何十度も観ているうちにこれはこれで前向きなエンドだなと思うようになりました。何度も見てるうちに楽しくなってきました。()
結局は明里を忘れられなかった貴樹ですが、昔遊んでいた踏切周辺で一瞬だけでも再会できたってことはまた偶然会えるかもしれないですしね。
明里サイドも貴樹の事をちゃんと覚えていて、昔の大切な大切な想い出として心の奥底にしまっていました。
これはバッドエンドではなく、前向きな気持ちで終わる終わり方です。それが自分の印象です。
この作品の好きな所は幼い貴樹の心の葛藤とそれを取り巻く魅力的な女性達。
第3章での緩やかな回想台詞からエンディングへの盛り上がり方、貴樹と明里の電車に乗車する瞬間の横からの足のカットと共に流れる秒速五センチメートルの文字と山崎まさよしのone more time one more chance。そして公式のMAD。挙げればキリがありません。
ツッコミどころもいくつかありますが、観ていて絶対損はしません。
君の名は。で新海監督を知った人に絶対観て貰いたい作品です。
(君の名は。にも通じる印象的なアイテム:携帯電話、電車、恐らく2章で出てきた発射されるロケットは君の名は。の降り注ぐ隕石との対比。)
人生のスピードは?
桜の花びら 5cm/sec
ロケット運搬 5km/hr
心 1cm/1000texts
初恋の淡い思い出から、成長と共に生じる現実的なすれ違い。恋も仕事も、無意識に手の届かないような理想を追い求める人の姿と、遥か彼方へ飛んでいく宇宙ロケットとを掛け合わせているようです。止まって欲しいと願う幸せな瞬間、早く終わって欲しいと焦る待ち時間。人間の感情は時間の流れを変えます。
初恋は可愛らしいのですが、13歳の少年少女が雪の夜に納屋で一晩て…?
結局毎回、歌に合わせて作っているのか?という印象です。
絶妙な余韻の残し方
新海監督の作品初鑑賞です。
君の名は。はまだ観ておらず、こちらの作品を先に観ました。
観終わった後の感想としては、切なくて胸が張り裂けそう。
でも、お互いに人生を踏み出している。
淡くて優しい恋の物語ですね
1話目は、貴樹が雪の中明里のもとへ向かうという状況でしたが、
雪と主人公の苦しい胸の内がいい情景描写として表現されているのが印象的でした。
家族は心配しないかなぁ、とも思いましたがそれほどは出てきませんでしたね。
途中、時刻表を買うときに種子島の本がちらっと写っていましたが、伏線だったのかと後で気づきました。
2話目では、主人公が引っ越しをした先から始まりますが、花苗の叶わない恋が描かれています。ジュースを買うコンビニがいい脇役だと感じました。最後は、貴樹と同じコーヒー牛乳を買う花苗の心理とはどのようなものか、考えてみたいです。
また、貴樹の宇宙に対する夢が明確に心理描写として描かれていますね。
3話目では社会の中で葛藤する社会人の貴樹が描かれています。山崎まさよしさんのソングが絶妙なタイミングでかかるのが素晴らしいと思いました。(歌も素晴らしいです)また、やはりここでも種子島の雑誌を手に取る貴樹の姿が見られます。
心の中に秘めてきた宇宙への夢をあきらめきれない貴樹の心理が3話分を通して描かれているのだと思います。
最期踏切の場面はすごく余韻のあるものでした。
明里と思われる人と踏切ですれ違う瞬間、そして振り返る瞬間、視聴者の目は電車の奥に釘付けです。
結果として彼女はその場にはいない、という結末でしたが、二人の脳内には幼い頃に駆け回ったあの想い出が蘇ったのではないでしょうか。
そして、貴樹は歩き出して終わります。
続いていくそれぞれの人生を、少しずつ伏線を残しながら(貴樹なら宇宙への大きな夢)終わるこの余韻の残し方が絶妙だと思いました。
ただ、ひたすら美しい。
生きていく中で、会えなくなったひとが、会うことを諦めたひとが、どれだけいることだろう。
なのに、それでも、会いたいひとのどれだけいることだろう。
求めるひとの、どれだけいることだろう。
それを知っている今観たからこの作品はこんなに胸が苦しくなるんだろう。
そして新海誠監督特有の映像美がそれをまた増幅させる。空が、雲が、雪が、桜があまりにきれいで余計に哀しくなる。
劇伴も哀しくてきれい。ラストの山崎まさよしの主題歌もずるい。。
※以下、別作品「君の名は。」のネタバレあります。
「君の名は。」も会いたいけど会えない誰かがいる。その会いたい気持ちを元に、失った空白を埋めようと求め、行動して結局は埋めることができる話だけど、この作品はそれを埋められない。
2作品に共通した「失ったなにかを求め続ける」という苦しさや痛み。これは「君の名は。」を観たときにわたしを虜にして劇場に足を何度も運んだけど、そういう意味ではこの作品もすごく好き。
そしてラストに残る苦しさ、哀しさ、それゆえの美しさの余韻はやはりこの作品が大きい。また観たい。
エピソードの順を逆にしたらより完成度高いかも
最初の引き合う純粋な二人の初恋はとても素晴らしい出来であった。特に最初の桜景色からラストの雪景色につながる転換、特に列車の連結部の細やかな動きなど相変わらずの素晴らしい新海タッチに感動した。2番目の種子島のシーンも悪くないが、ある1つの片思いが描かれ、展開がやや寂しい感じがする。それに宇宙ロケットを巡る面白さはあるが何か全体が上手く調和していないと感じるのは私だけかな。3番目は初恋の人との哀しくなるすれ違いと言えようか。
スピードがキーワードであるがストーリーが私のこころの中で上手くつながらない。勝手な思いを抱いた。「順序を逆にしたら、見終わって悪い気がしないんだけどなあと…。」
新海クオリティ ソノ2
19年前の作品
桜の花びらの落下速度なんてものを気にするほどの繊細さがなければこの作品は産み出されないものなのだろうとしみじみ思う。
三部構成になっているストーリーは、それぞれが単体というより、時系列的な流れでその時々の出来事を作品毎の主人公目線でフォーカスしてみせている形になっている。だから視点の違いで感情の流れを多角的に表現演出している故、主人公の心の機微が洪水のように溢れ流れるように移入してくる。受け止めきれない程の切なさを抱えたまま、ラストストーリーへ進み、そして最後のBGMが山崎まさよし『One more time,One more chance』と共に短いカット割りで過去から遡り、現在のお互いの生活状況、特に男の子の純粋な気持ちから大人になっての疲れやさぐれた心情を映し出す印象的シーンの演出・・・ 涙腺が悲しみを押し出すように決壊していくのを食い止める術はない。 しかもこの作品、あれだけ二人の男女がすれ違いながらも小学生から大人になるまで想い続けていたのに、最後は結ばれないという哀しいオチになるところが、より一層の切なさを奏でているところが秀逸であり、フランス映画の薫りさえ漂う。
多分、『君の名は』は、アナザーストーリーかパラレルワールドとしての物語なのかもしれない。そういう意味でもこの監督の過去作品は全て繋がっている希有な制作方法なのだろう。
相変わらずのヌケの良い広大な空と光と雲のカットは言うまでもない。
決してハッピーエンドではないでも、
タイトルにも書きました
決してハッピーエンドではないと思います。
でもバッドエンドともとれない
それは1話と3話に登場している桜が
そう伝えてきている気がします。
少年時代の恋をずるずる引きずって
成長した主人公のたかきは
何かにしがみついてなんとか生きていて
でもなんとなく付き合ってる人に
心が1センチくらいしか近づかなかったと言われ
昔の事に縛られていた事を思いだし
職を辞めます。
季節も変わり桜が秒速5センチメートルで
落ちる頃踏切であかりに似た容姿の人とすれ違い
渡りきった時に振り返る。
すると電車が横切り
確認できず横切った後にはもう姿はない
その時のたかきの表情は何故か笑っています。
きっとすべてをここで悟ったんだなって
自分のしている事は無駄なんだって
何してもあの時のあかりと会うことは出来ないんだって。
でもこれって逆に吹っ切れたっていういい意味だと思うんです。
桜には決してネガティブな思考は出てこないし
その時のこの笑みは決してバッドなものじゃない
そう捉えることが出来ました!
僕にも初恋というか夢中になったし
いまでも憧れてる人はいます
引きずってもいました
後悔は沢山残ってます
あの時こうしていればなんて。
でもふとしたきっかけで前に進むことが出来たし
新しい人達とも出会えた。
きっとたかきもこの物語のあと
ちゃんとした道を進むことが出来たような気がします。
2回目を観てここまでやっと見る事が出来ました。
感動できるかは視聴者の経験に委ねられる
短編3話からなる本作は端的に初恋の切なさを描いた物語としては最高。
しかし短いゆえに人物の描写としては弱く、主人公にも感情移入しにくい。
この感情移入できるかのポイントは視聴者の経験が大きく左右する。
最終的な結末がハッピーとは言いがたいのでむしろ感情移入しすぎると凄まじい憂鬱感をしばらく引きずることになると思われる。
遠距離恋愛経験者で、かつ成就することなく終わった経験のある人などは視聴注意であると警告しておく。
人物描写の弱点を補うのはリアルな背景描写だろう。
主人公に感情移入しないまでも、リアリティのある世界観が作品への没入度を高めてくれる。
個人的には馴染みのある駅や路線名などがそのまま出てきたことにより、すんなりとのめり込むことができたように思う。
クライマックスは山崎まさよしの名曲に頼りきった盛り上げ方であり、演出力には疑問が残る。
新海監督作品はこれから順番に観ていくつもりなのでここからどう変わっていくのかを楽しもうと思う。
懐かしいな、と思える風景
リアルな背景に、アニメ映画ではなく
人間が演じているドラマを見ている気分に。
でも、もしこの映画を人が演じていたらみなかったと思う
背景がリアルな反面、キャラクターがやけにアニメチックではじめは違和感を感じた
あそこまで写実的な背景をかけるんだったら人間ももっと手抜きしないでかけるはずだけど、
それをしないのはわざと?
第一章の主人公の語りがすごく鼻につきました…なんでだろう
調べてみたら新海監督は村上春樹もお好きらしく、
私は村上春樹の小説の主人公も、だから一体なんなんだって思ってしまうことが多いので、
この秒速の主人公にもそれと同じ感情を持ってしまったのかもしれません
いつまでも感傷的に昔の女性を引きづる描写に共感できなかったのは、語りが難しくて長かったからでしょうか
「幾ばくと」とか「横たわる」とかいう表現がきいててだめだった
もし、この映画のジャンルが「恋愛もの」だとしたら、まったく理解できないけど
主人公の成長や、思い出をテーマにしているものだったら、まだ理解できる…
室生犀星のふるさとのうたを思い出しました
桜の季節や雪の風景、電車の中からの景色など
見ている誰もがなんか懐かしいな、と思える風景をドンピシャで描けるのはすごい
一章は風景がすごくきれいなのに、三章はそこまで綺麗じゃないのも印象的
子供時代の思い出って美化されるし、過去の思い出はきれいっていうのを映像で表現できるのはおもしろい
小説版の秒速5センチメートルでの主人公の恋愛遍歴とかを調べたら調べるほど素直に感動できなくなっていくので、
映画ではじまり映画で終わったほうがこの作品は楽しめると思いました
新海監督の作品、ほしのこえや星を追うこどもとか、意外といろいろ見ていたことに気付いたけど、
どの映画もぼんやりとしたなんともいえない余韻が残る、不思議な作品です
40点
映画評価:40点
全部で3章構成となる作品で、それぞれの章で主人公の年齢の変化と成長が見られる
せっかくなので各章ごとに感想を書きたいと思います。
【桜花抄】:75点
中学生の淡い想いが伝わる。
新宿、武蔵浦和、大宮、久喜、そして佐野
どれもが私が依然住んでいた近隣で馴染みがあり、そういった所からも感慨深い
桜が咲く事のできる刹那、まさに一瞬の両想いが咲いていました。
それを見たとき涙が出ました、自分の中にもまだピュアな気持ちがあったと再認識できた素晴らしい物語でした。
【コスモナウト】:45点
主人公は高校生になっている。ただこの物語の主役は主人公を好きになった女の子だ
彼女の葛藤と、ひたむきな想いに青春を感じる
【秒速5センチメートル】:20点
もう主人公は社会人になっている。
昔の想いに引きずられウダウダと生きている
これには賛否両論あるだろうが、私は否定派だ。なぜなら最初の物語で二人の未来に期待を持ってしまったから
桜の花びらが落ちる様に一瞬の選択の躊躇で決まってしまう未来を描いているのだろう、それの方がリアルで儚いのだろう、だけど私の心はこの結末に納得してくれませんでした。
【Gyaoで鑑賞】
切ない系だが、男が情けない
初恋の切なさを表現した作品。
単刀直入言うと、初恋に未練を感じ続けていた男が、最終的には理想と現実の端境にいっぱいいっぱいになり、一念発起して退職、最後はニートになってしまう話。
男の女々しさが特に際立ったように感じる。
ただし最後の山崎まさよしは最高でした。
内容自体はなんかモヤモヤする感じ。
せつない想いがいっぱい
決してハッピーエンドではないが、何故かしっくりきてしまう映画です。 全編通じてせつない。せつないけれどもどこか懐かしさもあり共感してしまう。
特に第一話は苦しいほどせつない。 主人公が彼女に会いに行くまで遠い道のり。 とにかく遠く幼い主人公を孤独に不安にし追い詰める。観ていてとてもつらい。それはどこかで自分が体験した思い出とも重なる。同じシチュエーションではないにしろ誰でも同じ境遇になったことはきっとあるはず。自分もそう。だからこそこの主人公の孤独さ、不安さ、辛さが身に染みて分かる。痛いくらいの想いが自分の中で駆け巡る。
そして彼女と会えたときは心から喜べる。だけれでも待っていた彼女も寒い中、ひらすら待っていたことに心が痛む。 彼女も同じように辛かった。それもまた自分の実体験と重なりせつなく辛い。
第三話で現実的なラストを迎える。せつないけれどもそれが現実。だからこそ共感できしっくりきてしまう。そこにまた主題歌の選択がにくい。映画の世界観をマッチしすぎ。
全編通じてノスタルジーを感じると同時に、痛くせつない強い感情がわき上がる。 安っぽいハッピーエンド映画の商業的なストーリー展開よりも、ぐっと映画の世界に入り込むことができ圧倒的に満足のいく映画に仕上げっている。
個人的に自分の体験談とはまりすぎていたため、共感でき良い点数ではあるが、一般的には淡々としたストーリー展開と映像美を楽しめる映画なのでは。
切ないです (涙)
連作3本立てで描く、切ない恋の物語。
情景描写がとにかく綺麗。
日本の、普段の生活が垣間見えます。
その描き方がとにかくいい。
桜が散るスピード、と
いうのがまた切ないですなあ〜。
まるで、日本の小説を読んでいるような感覚がする作品でした☆
切ない、切なすぎる!
誰もが感じたことのあるような喪失、そしてその後に前を向く話。
踏切のシーン、最後に主人公が前を向いたから、それまでの悲しみが昇華された気がした。
大切な相手との心の距離、それを繊細に感じて切なくなる感情が、美しく表現されていた。
思い通りにはいかないことも、だからこそ味がある人生。いやあ、よかったね!
泣ける
泣ける。その一言に尽きる。
これは完全にネタバレだが、最後(見ているとなんとなく予想はつくが、僅かな希望を胸に見続けていると)電車が過ぎ去った後、女の子がいないのは誰もが泣けるだろう。山崎まさよしの曲もそれを助長する。
ただ二人だけの恋愛物語ではなく、その周り(何と言ったらいいのだろう)の恋愛も絡んできて、またそれがどれも切ない
よくみたら思ったより結構深い内容だった。
二年前に見たときは、村上春樹かぶれのナルシスさんが過去の女を回想するオ○ニー映画、でも表現がうまいからそれなりに観れる作品、という印象が最初でした。で、今回仕事場で日本のアニメについての考察という内容の授業に呼ばれて、外国人の学生に対して一日講師をしたときにこの映画について語ってくれと頼まれました。で、あらためてみると、すごくよくできた映画だというのがよくわかります。
大体3点くらい興味深い点があるんですが、まず一つ目は、この作品は望郷や追憶といった古来から日本の芸術の中で繰り返し使われていたテーマを、しっかりとアニメで表現しているところです。なぜ主人公が明里を探して新たな関係を築こうとしないのか、外国人には理解しがたいんですが、実は主人公は彼女と過ごしたその瞬間、体験、感情を愛でているわけなんですね。だから現実に成長した彼女を探すことには興味がない。「ふるさとは遠きにありておもうもの」なんてありますが、日本人は過去の記憶を過去の記憶のまま愛するんですよね。「ただおもってないで、さっさとふるさとに帰れよ」じゃなくて、子供のころに生きた、自分だけのふるさとをおもうこと、それぞれの幸せだったり苦しかったりした過去をありのままに愛して受け入れるというスタンス、それは突き詰めれば、現在を受け入れる姿勢に至るわけです。これは物語のテーマとも合致します。
二つ目は背景描写のリアリティーと人物のアニメ的表現のギャップです。監督本人も言っていますが、これは鑑賞者がより自然に映画の中に入っていけるための仕掛けの一つです。人間、背景は比較的客観に認知しても、己の姿、人と姿はたいてい主観を交えてみるものです。鑑賞者がそれぞれの個人の類似した記憶をたどりながら、登場人物に成り代わり、映画を鑑賞の対照ではなく、映画を「体験」する、という試みがなされています。
三つ目はエンディングテーマに出てくるタイトルです。通常、映画の始まりに出てくるタイトルが最後に出てくるのは、単に芸術的でなんだかかっこいいから、というわけではありません。これは主人公が過去の回想を終え、人生に区切りをつけて、あらたに歩き始まる、ということが表現されていると思います。つまり映画そのものは秒速5センチメートルという物語の前章で、実は映画が終わったところから本当の物語が始まるわけです。それは甘く苦い美しい回想ではなく、面倒くさいこともかっこ悪いことも含めた主人公の現実の人生です。興味深いのが、鑑賞者が登場人物に成り代わり「体験」したあとには、この物語の始まりは登場人物たちの始まりでありながら、鑑賞者自身の現実の人生にまで還元されることです。すなわち鑑賞者それぞれが登場人物たちに自分を重ね、それぞれの過去を回想し、映画の最後には現実の人生を物語に生きることを示唆するわけです。
うまく言葉で表現できていないかもですが、そういった意味でコンセプト自体が非常に新鮮で日本的、しかもちゃんと作品の印象とちゃんとつじつまが合っている、という点で、作品としてのクオリティはコンセプト、アニメとしての表現ともども、非常に高いと思います。
ちょっと演出的にはコテコテすぎてちょっと鼻につくところもありますが、これもコンセプト上必要な要素と考えれば、この作品は世界に自信を持ってお届けできると思います。
全62件中、41~60件目を表示