「美しく繊細な描写だが、不自然な設定」秒速5センチメートル(2007) ずっ子さんの映画レビュー(感想・評価)
美しく繊細な描写だが、不自然な設定
風景や自然描写が美しい。
ただ、見ていてリアル感に欠けるので、突っ込みどころ満載である。
中1男女の淡い初恋は素敵なのだが、両親の影が全く不在なのが不自然。大雪の夜に誰も居ない田舎の駅で、男女の子どもが深夜までいれば、駅係員は心配すると思うのだが、お気をつけくださいなどと大人への対応しかしない。
小屋で二人が夜明かしするのも、親が心配するので迎えに来て家に泊まらせるなどすると思われるのだが、親や家庭は全く出てこない。
昭和の大学生くらいの恋愛だと思って見ると良いだろう。
主人公の男子は、初恋を引きずり、関わる女子の気持ちを傷つけていく、ダメダメ男子。その思いにすら自分で気づけずに、風化してから気づき仕事を辞める。
理屈っぽいわりに、おセンチでどこか狡さに似た無関心があり、男子に魅力と共感を覚えない。
第2章で、男子に心を寄せる女子の親も、進路相談を教師をしている女子の姉に丸投げ。人ごとである。
特に家庭崩壊などがテーマではないのに、とても不自然。
自然描写以外は、イヤなストーリー。
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