「新海クオリティ ソノ2」秒速5センチメートル(2007) いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
新海クオリティ ソノ2
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19年前の作品
桜の花びらの落下速度なんてものを気にするほどの繊細さがなければこの作品は産み出されないものなのだろうとしみじみ思う。
三部構成になっているストーリーは、それぞれが単体というより、時系列的な流れでその時々の出来事を作品毎の主人公目線でフォーカスしてみせている形になっている。だから視点の違いで感情の流れを多角的に表現演出している故、主人公の心の機微が洪水のように溢れ流れるように移入してくる。受け止めきれない程の切なさを抱えたまま、ラストストーリーへ進み、そして最後のBGMが山崎まさよし『One more time,One more chance』と共に短いカット割りで過去から遡り、現在のお互いの生活状況、特に男の子の純粋な気持ちから大人になっての疲れやさぐれた心情を映し出す印象的シーンの演出・・・ 涙腺が悲しみを押し出すように決壊していくのを食い止める術はない。 しかもこの作品、あれだけ二人の男女がすれ違いながらも小学生から大人になるまで想い続けていたのに、最後は結ばれないという哀しいオチになるところが、より一層の切なさを奏でているところが秀逸であり、フランス映画の薫りさえ漂う。
多分、『君の名は』は、アナザーストーリーかパラレルワールドとしての物語なのかもしれない。そういう意味でもこの監督の過去作品は全て繋がっている希有な制作方法なのだろう。
相変わらずのヌケの良い広大な空と光と雲のカットは言うまでもない。
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