「こんなに泣くとは思わなかった。」猿の惑星:創世記(ジェネシス) オイラさんの映画レビュー(感想・評価)
こんなに泣くとは思わなかった。
予告編で見たシーザー(主役チンパンジー)の目の色に、深い哀しみと失望…そして強い決意を感じた瞬間から、すでに気持ち掴まれちゃっていたオイラでした。
アルツハイマー新薬開発の実験中に死んだ、メスのチンパンジーのお腹には赤ちゃんがいた。
その赤ちゃんが殺処分されないよう、新薬開発研究者のウィルは、彼をこっそり自宅に連れ帰るの。
当初そうとは知らなかったんだけど、母親への投薬の影響を受け、生まれたこの子は驚異の高知能を持っていたんだ。
それに気付いたウィル家族は、赤ちゃんに『シーザー』と名付け一緒に暮らすことにしたの。
その生活の中、シーザーがどんどん知能を上げていく様子には、不思議と『恐れ』みたいな感情は持たなかったな。
きっとそれは、シーザーの愛らしさ以上に、
ウィル(と家族)が研究者というよりも、家族としてシーザーの成長を見守っている愛情が温かかったからだね。
『ウィル達とシーザーの平穏な暮らしがずっと続けばいいのに』なんて望んでしまったよ…
映画『猿の惑星』だもん、そんなはず無いって解ってるのにね。
それでやっぱり、知力が上がるにつれシーザーは悩み始めるのよ。
自分は人間ではない…かといって周りに見る他の動物達とは何か違う。
ウィル達にとって、自分は家族なのか?ペットなのか?
この家の中だけに限らず、自分の存在は何なのか?どう居るべきなのか?
この頃からもうオイラ、シーザーしか見えてなかったね。
遂に彼が隣人に怪我を負わせるトラブルを起こしてしまった(家族を守る為にね…)時には、
『シーザーだけが悪くないじゃん!サルだと思って!ヒドいじゃないか!!』と、悔し涙ポロポロだった。
しかしコレがまた…涙の始まりにすぎなかったんだよね。
この後、動物管理施設に送られたシーザーが、苦し過ぎるんだよ。
施設にたくさんいる、自分と同じはずの『サル』達…仲良くしようと思ったのに何かが違う。知らない事だらけで、サルの社会に馴染めない。
賢さが仇となり、飼育員からは酷過ぎる虐待を受ける。こんな『人間』理解も信頼もできるはずない。
こんなに痛い思いをしたのも初めて。
ここには居たくない、早くウィルに迎えに来てほしい。
言葉を話さないシーザーなのに、佇まい・仕草・目の色から、一つひとつ思いが伝わってくるんだ。
もちろんオイラ、切なくて悔しくて涙が止まらん止まらん〜!だよ。
孤独な葛藤の末、人間に失望したシーザーは<自分が生きていくのはサルの社会なんだ>と、人間社会との決別を決意をするの。
その表情を見た時、はじめてシーザーを『怖い』と感じたな。
そして、その恐れを裏切らないシーザーの行動の数々…。
より知力を上げ本能も取り戻して、サル達のボスとなったシーザーはとうとう、彼らを率いて行動を起こすんだ。
暴動?いやいやコレは『革命』だね。
彼らが求めたのは、人間への復讐なんかじゃなくて、『人間のエゴからの解放』『自分らしく生きること』なんだよ。
なのに、自分達を省みることはなくただサルを排除しようとする人間に対して、憤りを感じずにいられなかったな。
『サル達をそこに導いてしまったのは一体誰なんですかーッ?!』
もともと類人猿好きなオイラだけど…ここまで猿に感情移入するのは、きっと生まれて初めてにして最後なんではなかろうか?
サル達が、野性の荒々しさだけでなく、頭脳的で緻密な作戦とチームワークで街を駆け回る姿は圧巻だった。
信念とプライドを持って進んでいく姿に感動した。
シーザーへの愛情を持ち続けていたウィルが、必死にシーザーを追いかける姿は、ちょっと出来すぎの感も否めなかったけど、それなりに感動した…というかなんだか救われた気がした。
ラストシーンには、一瞬『ん?まさかの安易か?』なんて思った…が!いやいやしか〜し!
『猿の惑星』しかも<創世記>だもんね、それを思えばふむふむ納得だね。
そいでもってホントのラストシーンに、『おおぉ〜ぅ!そういう事か!だから猿の惑星だ!』と深く納得しちゃったオイラ。
いぇっす!面白かった!
猿に感情移入しすぎのオイラは泣き過ぎだったけど、
サスペンス・ドラマ・アクションとして、丁寧に描いて下さっていて、すんなり素直に楽しめましたわよ〜奥さん!
そしてサル達の表情、コレ必見!!
チキチンッ♪