「自我に目覚めた類人猿って猿か?」猿の惑星:創世記(ジェネシス) snowiecanさんの映画レビュー(感想・評価)
自我に目覚めた類人猿って猿か?
アルツハイマー新薬による神経細胞の変異が劇的な進化をもたらし、人類への破滅を導いた、というプロットがすごく面白いと思いました。
知識とハサミは使いよう。
新薬開発研究できるほどの高度な知識を持ちながら、情に脆く、現状を受け入れられない弱さを持つウィルの執着、愚かさが破滅をもたらしたのだと思います。
その愚かさの最たるところは
類人猿を人間の息子として育てながら、リード(手綱)を手放さない−類人猿である扱いを変えなかったくだりだと思います。愛情深く優しく、そして自分が何をしているのか、全く理解していない。
だから成長したシーザーの「僕はペットか?」という問いの深さに気付かない。
よくいるよね。賢くて優しくて愛情深いんだけど、自分が何をやっているか全くわかってない人。
手話を獲得し、抽象的な思いを表現したあの時点で、シーザーは自我を獲得し「猿」を超えてしまった。そんな存在に、リード持って「お前はペットじゃない。俺の息子だ」って言ったって、ねえ。
最後まで「守ってやる」という気持ちは、本当に素敵で、真実の愛情なんだろうけど、それ受け入れたら、なくなっちゃうんだよ。自分自身の人生を決める自由が。
そんなわけで、どこの日本のメディアも言っていませんが、個人的にはいじめや虐待のくだりは自由を手にするきっかけだったと思います。本当に人間不信ならお父さんのことを恨んでるだろうし、襲われてもほったらかしてると思う。でもそうじゃなかった。
自分は人間社会では生きられない。ならば創るまでって感じなんじゃないかなあと思います。
郷に入れば郷に従え、の日本的価値観にはそぐわないですけどね。
余談ですが
ケーブルカーから、ゴールデンゲートブリッジ、ミュア・ウッズまで
かつて住んでいたサンフランシスコが舞台で、個人的には懐かしい風景がてんこもりで楽しめました。
重要な舞台になる、マリン郡にあるミュア・ウッズは、映画の通り、アメリカの原始杉がメインの木漏れ日が美しく幻想的で、サンフランシスコ・シティ(SF)から日帰りで楽しめる(昔は地味〜〜な)観光地です。
SF方面からだとゴールデンゲートブリッジ(GGB)を超えた北側にあるので、GGBの対決は、Apesにとって重要な意味をもってたんだろうと思います。 GGB抜けて自由を勝ち取るぞ、的な。
絵的にもすばらしいですし。
映像は言わずもがな、なので割愛します。