「類人猿の豊かな表情に見入る」猿の惑星:創世記(ジェネシス) マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
類人猿の豊かな表情に見入る
飼育係がチンパンジーの妊娠に気がつかないわけがない。類人猿の保護施設にあれほどの数のチンパンジーたちがいたはずがない。類人猿の暴動に対し、アメリカが軍を動かさないはずがない。そもそも類人猿を煽動するチンパンジーの誕生は「新・猿の惑星」(1971)のラストで暗示されている・・・などツッコミどころはあるのだが、それでもこの作品はよくできている。
1968年の「猿の惑星」のとき、そのメーキャップの精巧さに驚いたものだ。撮影のたび、何時間も掛けて猿の顔を作ったと聞いた。意外なラストも話題を呼んだ。
その後、続編やリメイクが繰り返されたが、先の「新・猿の惑星」以外、面白いものがない。その点、今回の作品は、ストーリーに説得性があり、シーザーを筆頭に類人猿たちがよく描けている。モーションキャプチャーを使ったCG処理の発達で、類人猿の動きや表情の豊かさが格段に向上した。
もはや遺伝子操作は夢物語ではない。類人猿に喜怒哀楽の表現が与えられたからこそ、ストーリーが一層現実的なものになる。
壁に描いた窓枠の絵を消し去り、人間への報復を決意したときのシーザーの目は圧巻だ。役者の演技が下地になっていればこそだ。
仲間に一目置かれ、仲間から命を賭けて守られるまでに成長したシーザー。ひときわ高い大木の上から眺める先に、人間文化が創造した大都会ロサンゼルスの全景が広がる。
そのロサンゼルスから、1作目「猿の惑星」の舞台となる東海岸にどうやって飛び火したのか、しっかりラストに仕掛けが用意してある。
人類のために開発した薬品によって人類の滅亡を迎える。科学とはなんとも皮肉なものだ。
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