バッド・ティーチャー : 映画評論・批評
2012年5月9日更新
2012年5月19日より渋谷HUMAXシネマほかにてロードショー
キャメロン・ディアスの振り切れ加減が痛快
どうも評判はよろしくないようである。確かにキャメロン・ディアスが演じる玉の輿狙いの教師エリザベスは性格は悪いし、その計画の一環で豊胸手術のためにお金を稼ごうとする展開も、スターが演じるにチープすぎる。でも、最初はなにかとチープな世界観に引いてしまっても、観ているうちにだんだんエリザベスの馬鹿げた行動のかずかずが面白くなってくるのも事実。なぜって、わかりやすいビッチを演じるキャメロンの振り切れ加減が痛快なのだ。なかでも、生徒たちの課外活動の洗車アルバイトでプレイメイトばりのお色気と同時に笑いも誘えるキャメロンには、シリアスドラマもイケる実力があるからこその自信も感じてしまうほど。
やっぱり、アラフォー女優がアラサーを演じてコメディエンヌとしての実力を発揮するには、かわいこぶってはしゃいでいるのがイタかった「ナイト&デイ」よりも、毒のある役のほうが面白いってもの。貧乳をネタにしたり、元カレのジャスティン・ティンバーレイクと笑撃の絡みを見せたりするキャメロンの逞しさといい、エリザベスが披露する狙った男の情報を収集するテクといい、女子的には実は「バッド・ティーチャー」は“グッド・ティーチャー”だったりする。
なにより、おバカな笑いに脱力させても、最後は胸が熱くなるというアメリカンB級コメディのお約束もばっちり。知られざる“名作”を発掘するのが好きなマニアには、意外とお薦めかも。
(杉谷伸子)