「ずっと浸っていたい映像世界」ドラゴン・タトゥーの女 ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
ずっと浸っていたい映像世界
あー!!!!もう今日ほどデヴィッド・フィンチャー監督作品を愛し続けてきて良かったと思えた日はないです!!!!
『セブン』のファーストインプレッションから常に彼の映画から衝撃を受け続けてきて、毎回脳天に稲妻落とされて、毎回興奮して、毎作品最良だと思ってるんで、今回もその思いが更新されたってだけなんですがw
実は正直白状しますと、何でフィンチャー御大はこの作品をチョイスしたの?と、発表聞いてからずっとモヤモヤ感抱いてたんです。
原作は読んでないですが、スウェーデン版の映画三部作は観ていて、確かに重厚で緻密な物語だな、とは感じていて。
でも何で?
何で焼き直しするの?筋書きもオチも知られてるのに!?というある種の御大への“疑念”というか“不信感”?
そんなモヤモヤ抱えたまま幾月を過ごし、暫くして予告動画がポンとアップされました。
期待せず何気に拝見しました…こう、なんつーか…疑念も不信感も彼方へ消え去りました。もう“期待”に胸膨らんでいました。予告映像に取り憑かれました。
これぞ、フィンチャーマジックと思いました。(つかオレが現金?)
と、あらゆる期待と葛藤を抱きつつ、やっと本編公開封切を迎えました。
いやもうね、うん、もう、ホント素晴らしいの一言に尽きます。
関係ないんですね。物語の流れとかオチとか展開とか。
デヴィッド・フィンチャーの映像世界に落とし込んでしまうと、そんなこと関係ない。瑣末。
彼の映像が持つ魔力に惹き込まれてしまう。
埋没してしまう。
ダニエル・クレイグのエレガントな中年男の所作。
ルーニー・マーラの飄々とした力強さ、得体の知れなさ。
観る側に意識させないながら、その実、美しく巧みな映像群。シークエンスの連続性。
どれも一級品。ずっと浸っていたい。
惜しむらくは、物語運びを分かり易く時間制約からの弊害?で軽妙なテンポ感に仕上げてしまったこと。
158分じゃ(自分には)明らかに時間足りてないけど、一般観客層を飽きさせない為にはギリギリの時間配分だったんでしょうけども。
個人的には四時間でも五時間でも観ていたかった映像空間だったので。
まそれだけこの映画が素晴らしいって証拠なんですけども。
いやはや、のめり込みました。この映像世界に。
是非、残りの2、3も、御大に撮っていただけることを切に願っております。
大傑作!!!!!!