劇場公開日 2012年3月1日

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「これは作品ではない。監督自身の声を聞け。」ヒューゴの不思議な発明 トーレスさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5これは作品ではない。監督自身の声を聞け。

2012年3月3日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

巨匠マーティン・スコセッシは今までに様々な秀作を世に送り出してきたが、それでも監督は3Dという新たな挑戦を始めた。これまで3Dは観客を興奮させ異次元を見ているかのようにさせていたが、今回マーティンは真逆の事をしている。3Dを駆使し、自然にそして静かに映画に誘い込み、観客の心を捕え離さない。なんといってもあのカメラワークにはびっくりだ。ファンタジー張りの時計台のセットや汽車から降りうねるように行き交う人々の中を這い回る主人公を違和感無く撮り尽くす。カメラを移動させるにも複雑な機械のようなセットが施されているのが想像つく。
映画好きだった少年は様々な体験を通して映画を製作する側に憧れを抱く。これを見た後妙に納得できることがある。監督は世間に「映画とは」という問いに大々的に答えたと言えばいいのか。つまり「映画とは、素晴らしいもの。」というメッセージを伝えるためにこの作品を作った。もしかしたらヒューゴはマーティン自身なのかもしれない。観客は映画を見終わった後、監督の「ほらな、だから映画は面白いだろ?」と言う声が聞こえるに違いない。

トーレス