「シアーシャVSブランシェットは魅力的だったが」ハンナ スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
シアーシャVSブランシェットは魅力的だったが
シアーシャ・ローナンの圧倒的な存在感に関しては文句なし、そこに父親役にエリック・バナ、悪役にケイト・ブランシェットを配せば、間違いなく面白い作品に仕上がりそうなものでしたが、何とも微妙な線に仕上がってしまった印象ですねぇ。
まあつまらなくはなかったですし、映像や音楽の部分なんかは全然悪くなかったと思うのですが、脚本の問題なんですかね、何かモヤモヤ、微妙に乗り切れなかったかも。
やはり一番の原因は父親がハンナをどうしたかったのか、いまいち伝わってこなかった部分ではないでしょうか。
勿論何となくは分かるのですが、ここは重要な部分なので、もっと見る者にグッと感情移入出来るよう演出して欲しかったですね。
他にも全体的に曖昧な部分が多く、こうなってしまうとハンナに関する衝撃的な部分もそれほど驚かないと言うか何と言うかで・・・。
まあ16歳まで外の世界を知らずに殺人マシーンとして育てられたハンナが、初めて外の世界に触れ全てのことに驚きつつ展開していくロードムービー的なシーンは、結構ツボでしたけど。
初めての安らぎ、そして友情、でも殺人マシーンである現実、その辺りの葛藤具合の描き方は良かったと思いました。
アクションのイメージが全くないシアーシャ・ローナンだけに、尚更そのギャップで楽しめた部分も。
それから何と言ってもケイト・ブランシェットの悪役としての存在感は、さすがの一言でしたね。
幼いシアーシャVSケイトの構図は、さながら童話の世界のようで、ビジュアル的には文句なしだったと思いましたよ。
でも、結局話の味付け具合がもう一歩なんですよねぇ。
いつもとは違う分野に手を出したジョー・ライト監督でしたが、どうやらこのジャンルはあまり向いてなかったようで・・・。
>みつまる。さん
コメントありがとうございます。
どうもモヤっとしたものに包まれている感じなのは、やはり童話的構図を意図した作風から来てるような気がするんですよね。
そこが根底にあるから話的には妙に中途半端なアクション物になってしまった印象で、どうもスッキリはしない・・・けど、シアーシャVSブランシェットだけは魅力的、みたいな。
まあ好みの問題もあるのでしょうが・・・。