「恐るべし、リーアム・ニーソン」アンノウン マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
恐るべし、リーアム・ニーソン
話はひねりがあってなかなか面白い。
妻はなぜ嘘をつくのか? 自分の名を騙り夫になりすましている男の正体は? そして、自分が罠に掛けられたその理由(わけ)とは?
この3つの謎が紐解かれたときの意外性も悪くない。
リーアム・ニーソン演じる主人公がきわどいところで、自分が本物だと証明できないタイミングの設定もいい。例えば、忘れた鞄を探しにタクシーに乗った彼は、ホテルのチェックインの場にいない。フロントの係が対応するのは妻だけだ。防犯カメラで確認しても妻しか写っていない。こうしたタイミングのズレがあちこちに仕掛けられている。
時間の割り振りも悪くない。
俳優も、人捜しのプロと紹介されたユルゲンを演じるブルーノ・ガンツと、マーティンの旧友ロドニー・コール教授を演じたフランク・ランジェラがいい。ふたりとも役の雰囲気があり、どちらも重要な役どころだ。
妻のエリザベスを演じたジャニュアリー・ジョーンズもいい。最後まで敵か味方か分からない。看護師の女優さん(エヴァ・ローバウ)もチャーミングだ。
つまり面白いということだ。
ただ、話の進み方が都合よすぎる。
知らない土地で、タクシー・ドライバーのジーナが助けになるのはいいとして、彼女の度を過ぎた活躍ぶりは、とても一般ピープルとは思えない。
ネタバレになるので言えないが、ほかにも都合がいい場面が多々ある。
これがシュワちゃんの映画なら、車からシートを素手でもぎ取ろうが笑って済ませられるが、リーアム・ニーソンとなると何があってもシリアスに見えてしまうからタチが悪い。「96時間」もあり得ないほど都合がいい展開だったが、観ているときは妙に現実味があって納得してしまうのだ。
なんて役者だ。ん? やっぱり褒めてる??