「原作ファンには不満 初見には説明不足」天地明察 UNさんの映画レビュー(感想・評価)
原作ファンには不満 初見には説明不足
原作が好きでかなり期待を持って劇場に足を運んだ為、少し辛めの評価かも知れません。
役者さんの演技や、音楽、美術については特に文句のつける所は有りませんでした。特に、作中に出てくる観測設備等は実際に映像として見れて良かったです。
ただ、脚本・演出面においてはかなり不満が残ります。
原作の通りであれとは思わないのですが、エピソードの選定、つなげ方、オリジナルエピソードのどれもが、細かく変えてある割りにかみ合ってないので、なぜそんな変え方をしたのかと思ってしまいました。
恋愛面と暦改変のどちらかをメインに据えられればもう少し印象が変わったのでしょうが、両方入れてどっちつかずになった感が否めません。
というか、恋愛面を盛りすぎた為にメインの暦改変ストーリーに割く説明量が不足したように見えました。
恋愛面は別に削ってしまっても良かったのでは?
(えんのキャラクターも変わっていた事によりエピソードとの絡みが微妙にずれてしまいましたし。良妻賢母過ぎて、とても縁談を悉く断られるようなキャラには見えませんでした。)
暦改変ストーリーをメインとして見るには、全体的に駆け足でした。
特に、幕府と宮中との関係性や、碁打ちであるはずの算哲の微妙な立場などを、映画の中で読み取るには事前知識が無いと無理があると思います。
登場人物達の関係性の描写不足で、感動シーンであるはずの場面で白けてしまいます。
あと、謎の襲撃事件はいらなかった。
個人的に一番納得のいかなかったのは、算哲→関への問いの誤謬が関からではなく、旅の途中で判明すると言う形に変更されていた事でした。
(後の暦改変への執念に関わる)主人公の算術に対する情熱を一番表しているエピソードだったのに、ショックから立ち直るのが早すぎて、関との関係性までもが軽く感じられました。
全体的に大事なのはどこ?と言いたい具合のぼやけ具合でした。