「演出力が高い」第九軍団のワシ Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
演出力が高い
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総合:85点 ( ストーリー:65点|キャスト:80点|演出:90点|ビジュアル:80点|音楽:75点 )
亀甲隊形というのは知らなかったが、個人の戦いに加えて集団戦法をしっかりと描いてくれていて、演出の質がとても高い。亀甲隊形から円陣、そして戦車が出てきて退却までの指揮官としての指揮ぶりもしっかりと劇中に取り入れられているのが良い。冒頭の場面だけでこの作品の良さが十分にわかった。続いて壁を越えて敵地に潜入する命懸けの冒険も楽しめた。
美術も衣装も良く出来ていて当時の状況が出ていたし、美しくも厳しい風景と音楽とで物悲しさと任務の危険さを表す情緒的雰囲気が出ていた。異民族の描き方も、異様でありながらも彼らをただ倒すためだけの敵役として描かず、彼らも被害者であり彼らの言い分もしっかりと取り入れているのもいい。
気になったのは物語で、危機の際にずっと以前に兵士をやめたかつての軍団の兵士があっさりと揃い、しかもしっかりと昔のように戦えるというのに不自然さと都合の良さがある。負傷し疲労困憊しているはずの主人公がいきなり回復して力いっぱい戦えるというのも変だった。この結末は駄目。
それと主人公と奴隷の二人の信頼関係を築く部分をもっと描いていてくれないと、物語の核となる部分が弱くなる。設定がいいし当時のことも良く調べてあるだけに、この部分で質を下げている。
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