劇場公開日 2011年11月12日

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「「そろそろ・・・巨匠になりますので」」恋の罪 ダックス奮闘{ふんとう}さんの映画レビュー(感想・評価)

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4.0「そろそろ・・・巨匠になりますので」

2012年1月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

「愛のむきだし」などの作品で知られる園子温監督が、「図鑑に載ってない虫」でもファンキーな役どころを演じた水野美紀を主演に迎えて描く、群像ミステリー。

奇抜な設定と、徹底した血みどろ劇場描写という代名詞で、日本映画界にその名を刻み続ける映画監督、園子温。「やはり今回も」の作品であるのは確かだが、その根底に流れているのは「エログロ」貫徹の娯楽性とは毛色が異なっているのは明確である。

「作家・園子温」が日本映画界から、そして世界の映画人から高い注目を浴び始めた事で始まった成熟、成長が強く打ち出された作品と言えるだろう。

90年代、渋谷区円山町で実際に発生したエリートOLの凄惨な殺人事件。その捜査に乗り出す女性刑事が迷い込む「女」の性と二面性、その荒々しさと美しさを「言葉を」駆使して見つめていく。

そう、この作品がこれまでの園作品と大きく違うのは、「ぶっ飛び鮮血ワールド」と言っても過言ではない壮絶な怒号と叫びで彩られた作り方に頼らず、絡み合う深遠な言葉の化学反応が主軸に展開されているところにある。

「言葉なんて、覚えるんじゃなかった」本作のメインテーマともいえる詩の一節だが、これは単純に物語の要素ではない。「いままで殺人とエロで注目集めてきましたが、そろそろ会話劇でいきまっせ」という作家としての意思表示が物語に満ち満ちている。

その流れのままに、これまで最期までストーンと堕ちていく人間の悲しさを生々しく描き続けてきた過去作とは違い、きちんと「犯人」へと辿りつくミステリーとしての端正な魅力をもつ。映画として「起承転結」を構築する分別を持ち始めたという印象が強い。

次回作「ヒミズ」は全国展開のメジャー劇場での公開が決まり、いよいよ「巨匠」への第一歩を踏み出し始めた作り手の新機軸として注目したい作品である。ただ・・・人間の業をむき出して提示してきた暴れん坊が、大人になって「映画とはね・・・」と偉そうに世界に講義する姿は、ちょっと、見たくないのも確かである。

無鉄砲の変態野郎で居続けてくれませんかねえ・・・どうか。

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ダックス奮闘{ふんとう}
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