「もう匙を投げた青山監督だったがこれはいい」東京公園 resuwisshu311さんの映画レビュー(感想・評価)
もう匙を投げた青山監督だったがこれはいい
映画の客観的批評なんてできるわけではなく、単に嗜好に合うか合わないかだけが評価基準であるに過ぎず、特定の作品を除いた殆どの青山真治監督作品には個人的に首を振るばかりだった。
しかし、本作品は最初こそ「すかした都会感覚のスノッブ映画」と斜に構えてみていたが、徐々にメインテーマでもあるちょっとすれ違う男女間の融和・融合という形が明確化するにつれ心地いいシンクロ感が生じ、大きな感動とかではないけれど不思議な安寧とでも言える余韻がエンドロール中、そして視聴後でも持続している状態。
でも何が良かったんだかは実はよく分からない。これ見よがしではない演出の微妙なテクニックが奏功していたということなのだろうが、それが分かれば玄人批評家になれるのかもね。笑
俳優陣ではやはり物語の要となる主役:三浦春馬の「人畜無害的中庸演技」が冴え渡っていたと思う。(亡き親友、その恋人、美しい義姉、謎の綺麗な子連れ人妻、その妻を写真監視する嫉妬深い夫、ゲイマスターなど全てと強くなくかといって弱くなく関わり合う中心人物)
実は視聴中、顔や雰囲気の似通っている別の俳優に置き換えてみたりもしたがそれらの俳優では三浦春馬と同じ味わいは出なかっただろう。
他の出演映画でも良好な印象が残った記憶があるが、三浦の気取りのない普通の二枚目キャラは非常に貴重な資質だったのだなと今になって認識させられた。
一歩間違えば「茫洋とした意味不○ソ映画!」と腹を立ててもおかしくないような内容ながら、じっくり見入って共感さえできたのだから、原作・脚本・監督・俳優その他の組み合わせの妙が本作にはあったのだろうとしか言いようがない。まぁそれも結局は客観評価ではなく主観評にしかすぎないけれどもね。
2104-7