「魔女狩りという蛮行」デビルクエスト odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
魔女狩りという蛮行
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原題は「魔女の季節」だが邦題は「悪魔探究」とネタバレ気味、14世紀、黒死病を蔓延させた元凶とされる魔女を裁判にかける為に元十字軍の脱走兵たちが山間の寺院に護送するロードムービー。
イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリによればホモ・サピエンスが栄えたのはフィクションを産みだし共有する力だと言う、神話や宗教、法律や貨幣などが典型的産物だ。本作の魔女狩りなどもその負の産物、人智を超えた災禍などを神罰や魔物のせいにすることで為政者や権力者はかろうじて統治の存続を謀ったのだろう。魔女狩りの歴史は古く12世紀から続き、ガリレオやニュートンなどの出現による科学の光明により沈静化したものの、何と現代でも開発途上国では絶えてはいないというから恐ろしい限りです。
教会の権威や威信の為に非道の残虐行為を繰り返すことに嫌気がさした十字軍の騎士と言う設定は斬新です、このまま正道をすすむのかと思いきや最後はファンタジー・アドベンチャーに様変わり、まあ、そのままでは教会の背徳史、告発映画になってしまいますから矛先を変えたのでしょう。
無神論者と言う訳でもありませんが昨今の邪教問題の報道のせいか、せっかくの辛口なのにと残念な気もするから不思議です。
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