「始終切ない」コクリコ坂から モロコシさんの映画レビュー(感想・評価)
始終切ない
始まりはコクリコ荘に住む主人公。
船乗りの父を亡くし、大学の先生である母とも離れ、兄弟と共に暮らしている。
長女である主人公の声優を務めるの次女である長澤まさみ。そして主人公と同じく船乗りの父を亡くした駿の声優は次男の岡田准一。声優が次女と次男にも関わらず、長女らしい責任感と一人っ子らしさのある声ができることに驚いた。心情が籠ってて違和感がない。
どこかで見かけたのだが、コクリコ坂はメロドラマチックでありながら、映画にしてはリアリティがあるそうだ。例えば、メルが料理を作っている時の顔。普段から料理を作る人ならわかると思うが、料理を作るときに真顔でない人はそうそういない。この作品は無駄に描かないから、淡々としていると言われがちなのも納得だ。無駄のない綺麗な作品だと思うのだが、あまり惹かれないものなのだろうか。ハウルの城や千と千尋をジブリの代名詞だと豪語する人たちに魅力が伝わらないのが残念だ。アクション映画ではなく人の心情に特化した映画だと私は思う。映画ではアニメに関わらず、ドラマでもオーバーリアクションが付きものなのだが、主人公たちのリアルな表情といい街並みや時間の流れが昔を彷彿とさせるかのようにリアルだ。
難しい内容だと感じるのもわかる。おそらく、朝鮮戦争や旗の意味、カルチェラタンの歴史を知らないとわからないのかなと思ってしまうのだろう。簡単に言えば、部室取り壊しを反対する生徒たち動きと亡くなった父親が一緒かもしれない海と駿のメロドラマが並行に進んでいる。カルチェラタンを掃除したのにも関わらず夏休み中に取り壊しが決定したり、お互い惹かれあったのに父親が同じかもしれない、などとこのいい加減な理不尽さがあるのがこの作品の醍醐味。
なにをもってジブリではなくジブリとはこんな部分もあると感じた作品だった。