「日本とアメリカの根本的な差」ブルーバレンタイン asicaさんの映画レビュー(感想・評価)
日本とアメリカの根本的な差
アメリカでコロナウィルスによって多数の死者が出ている一因として、医療機関への受診が一般的な人間にとって非常に高額であるというのがある。
アメリカではどのような会社に入るか、どういう保険を社員に対して保障するかも会社のグレードを決めるポイントだしそこを目指して大学で学び、学んだ内容を活かすべく会社にアピールして高所得と保障を得ようと努力する。
日本でも厚生年金が国民年金に上積みされる金額によって年金金額に差が出るが、アメリカの保険制度は、そんなもんじゃないくらい現時点での医療費にも反映する。
妻の彼女は、看護師(産婦人科系の医師のような仕事もしている)であり、周りは上昇志向の人が多い職場。
夫は、朝からビールをのんでペンキ塗りをし、子の世話を積極的にして心から愛情を注ぎ、言わば今我が国でもてはやされつつあるスローライフ的な生き方をしている。
愛があるから、いつまでもいつまでも、他の男の子どもを産んだ彼女であっても いや だからなのかもしれない、
彼女の上昇志向にべったりと張り付くような愛情で彼女を縛りつける。
崖を登ろうとしている(這いあがろうとしている)彼女の足に綱を結んでぶら下がり、自分の方を見てないと言っては常に綱を引いて揉め事に持ち込む。
彼がこんなに愛情深く娘を愛し世話をして、稼ぎが少ない以外の落ち度がないのに、なぜ彼女は気持ちが離れるのか、理解に苦しむと言う人もいるだろう。
人は余りにも自分の方ばかり見つめる人間からは、少し離れたくなる生き物なのだ。
こんなに私はあなたの事を愛しているのに!
そう言って裏切られがちな人はこれを見て学ぶと良い。
恋愛感情は綱引じゃない。棒です。
こっちが押せば向こうは遠くに行く。
好きすぎて、と言うより 自分が捨てられそうになった時の人間の怒りの行動って本当に逆効果なのよね。
それを我慢出来ずに相手を殺す人もいる程。
映画の手法として
過去と現在を行ったり来たり
若くてかっこ良くて、ウクレレ奏でて歌うたってくれて老人に優しくて他の男の子どもを妊娠した自分を包み込んでくれたあの頃と
薄毛になってだらしなくペンキにまみれた姿でタバコ吸って朝から酒飲んで甲斐性なし。
それを交互に見せられて
すっごい撮り方だなと 驚き まったく1秒も飽きさせない構成に 見終わってため息と そして何か言いたくなる、つまり観賞後に言葉が溢れてくる。
我が夫は もちろん自分の娘たちだったのにここまでのべったりと目に余る程の愛情を注ぐ事はなかった。
年齢が若かったというのもあったかもしれないが。
夫はもちろん仕事についてはそれなりに努力をきっちりした人だった、映画の彼の様に母親を知らずに育ち学歴もなかったが。
そして映画の彼の様に私に対する粘着質な愛情を持つタイプだった。
だから、夫が生を全うして
というか
私との夫婦生活を全うして
旅立った事について
ホッとする部分もあるのである。
ううん、いいんですよ。
そのまま、その時のありのままで。
僕は、レビューは自分のむき出しの鏡でOKだと思ってます。
僕の「パラサイト」のレビューは差別的で、マジ非道いもんです。(笑)