劇場公開日 2011年2月19日

  • 予告編を見る

「オリジナルよりも重い印象です」男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0オリジナルよりも重い印象です

2011年2月25日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

オリジナルとの比較中心のレビューです。

ジョン・ウー監督の
傑作アクション『男たちの挽歌』を
ウー監督の制作総指揮のもとリメイク。

新鮮な気持ちで観ようとオリジナルの復習などはせずに
鑑賞に臨んだが、それがかえって不味かったのかなあ、
アクションや物語のおおまかな流れなど、
全体的な印象として、内容にあまり変化が無いように感じられた。

いや、細かい変更点は沢山ある。
最大の違いは、
韓国のお国柄を反映し、主人公ら3人が
脱北者という設定になっている点か。
脱北した人々が韓国内でどんな立場に置かれているのかは
恥ずかしながらあまり詳しく知らないのだが、
新しい社会に馴染めなかったり、
困窮した生活を送っている人々も多いと聞く。
この映画でも主人公らは非合法なビジネスで生計を立てており、
脱北者であることを嘲笑される描写もある。

また、物語の軸である主人公たち兄弟の間の溝は
“北”の収容所での過酷な体験によって
より深く暗いものとなった印象。
その分、兄弟が再び絆を深めてゆく過程や、仲間同士の繋がりの
強さには説得力があり、思わず涙しそうになるシーンも少なくない。

それに、オリジナルでチョウ・ユンファが演じた役柄に当たる
ヨンチュン(ソン・スンホンが熱演)もカッコいい。
兄貴分の為に二挺拳銃をブッ放すシーンにはゾクゾクするし、
クライマックスのワン・マン・アーミーな暴れっぷりや最後の姿には
男泣き必至である。

しかしながら……イマイチ気持ちが走らない。
先述の通り、アクションや物語展開に
劇的な違いというものは無く、新鮮味は薄い。
何よりこちらの気持ちにブレーキを掛けているのは、
物語の悲劇性が強過ぎるように思える点。
見た目も雰囲気も暗いシーンが多くて、息抜きできる所は少ないし、
オリジナルと異なるあのラストもやりすぎじゃないかなあ、と。
あまりに救いが無いのでかえって泣けず、
観終えてから何だかドンヨリした気分に……。
元を知らない方の意見も聞いてみたい所だ。

一言で言えば、真面目な映画ですね。
その姿勢自体は良いのだけれど、真面目過ぎてちょっと疲れる。
今の韓国が抱える問題を盛り込んだ辺りに
リメイクの価値を見出す事もできるだろうけど、
「あの名作をなぜリメイクしたのか」
という疑問は完全には拭えず。

ところで——ヨンチュンには生き別れた双子の弟なんていないよね?

<2011/2/20鑑賞>

浮遊きびなご