「妻が思ったよりも強い」スリーデイズ Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
妻が思ったよりも強い
総合70点 ( ストーリー:70点|キャスト:70点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
2008年制作の『すべて彼女のため』の再映画化作品で、ほんのちょっと前に制作された映画をこんなにすぐに改めてハリウッドで作り直すのは何故だろうか。しかし監督は『ミリオン・ダラー・ベイビー』『クラッシュ』などで世界的に名を上げて、私の関心も刺激したポール・ハギス。とりあえず期待して観てみる。
だが残念ながら原版に及ばない。まず妻がこれほどの状況にもかかわらず普通に強くて、どうしても彼女を救うためには全てをなげうち命を賭けて脱獄させなければならないという気持ちになれない。確かに彼女は自殺を図るほどに追い込まれてはいるのだが、それでも実際のところ、彼女は脱獄には当初は反対する。素人が脱出成功の可能性が低いのに、それでももうこれをやるしかないんだというところまで切羽詰ってはいない感じを受ける。
閉鎖された町から脱出するために旅行者を乗せていくのはいい作戦だった。しかしピッツバーグからバッファローという数時間の長い旅路を行くのに、子供が三年も会っていなかった母親と共にいい子で過ごして正体も怪しまれないというのも不自然に思った。
それから結末が劣る。原版では脱獄は出来たものの、罪を背負い警察に追われ祖国にも帰ることが出来ないという不安を示唆していた。これからも苦労は続くのだと。
だが今作ではやっと逃亡することが出来たという緊張はあるものの、原版にあるそのような示唆がなかった。悪い作品ではないが、これならばわざわざ再映画化するまでもなかったし、特にポール・ハギス作品ということでの高い期待には沿わなかった。