「癖になる」スカイライン 征服 MASERATIさんの映画レビュー(感想・評価)
癖になる
正直ろくな作品ではないが、個人的にエイリアン作品が続いた2011年度のSFで最も印象に残っている。本作は近年ホラー界では流行のPOV作品に近い構成だ。撮影は普通のフィルムカメラでの撮影だが、「一つの視点でしか描かれない」というところがまさにPOV作品と似ていると感じた。
舞台はマンションの一室。明け方に謎の青い光が飛来し、光を見てしまった人が次々と吸い込まれていく…という冒頭なのだがこのインパクトが非常に好きだ。しかしこれから万人受けするような作品になるのかと思いきやまさかの裏切り。主人公たちが一室に籠城し、そのマンション内(正確には敷地内)の出来事しか描かれていないという展開を見せる。
いや、どうりで低予算な訳である。室内にも時折敵が侵入したりするため、脱出を試みようと車で避難するものの、巨大なエイリアンに乗車していたフェラーリもろともぺしゃんこにされ、他の個体にも追いかけ回されて結局部屋へ一目散。ずっとこんな感じだ。
エイリアンの侵略という未曽有の災害に置かれた一般市民をリアルに描いているのだろうが、その割には主人公がある理由で人とは違う不思議なパワーを身につけるなどご都合主義が目立つ。
しかしどうもこの雰囲気やストーリーが好きだ。面白くないところが面白いというような不思議な感覚になる。また、今までこれほど挑戦的な内容の作品があっただろうか。それに驚いたのと、エイリアンの神秘的であり動物的、有機的なデザインにもやられた。恐るべき能力にも脱帽だ。ラストが唐突過ぎて驚かされたが、明らかに続編を意識している。…がしかしパート2にまで至るのかかなり心配だ。だが、現在本作の続編、「BEYOUD SKYLINE」が製作中だ。予告編を見る限りは前作よりは金もかかっており、万人向けになっていそうだ。正式なパート2かは分からないが、まずはそちらを待つとしよう。