劇場公開日 2011年5月7日

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「星の輝きの様に生きる事は美しく尊い、その事をそっと感じて欲しい」星を追う子ども Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5星の輝きの様に生きる事は美しく尊い、その事をそっと感じて欲しい

2011年9月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

幸せ

人が生きる事は出会いと別れの繰り返し、時に愛する者と死別し、そしてまた新しい出会いがある。その中で人は成長を遂げて行く、人の宿命をファンタジーで伝えた心温まるファミリームービーだ。

私は残念な事に、新海誠監督の前作品を見ていない。したがってこの作品が、彼の作品の中でどのような位置を占める事に成るのかと言う判断は出来ない。
しかし、本作は音楽も綺麗だし、自然描写も美しいので、子供連れの家族で見るのも楽しいし、或いは10代の人達がこのアニメをデートに行く時に選んでみてもきっと外れる事が無い、夢があって良い作品だと思う。
愛する人(父親)の死をやっとの思いで乗り越え前へ進もうと生きる少女アスナの生き様と、妻との別れを諦めきれない、現実を受け入れられない教師モリサキと言う大人。この二人の人間の生き方の対比こそが、ファンタジーアニメと言う、おとぎ話ちっくに描いてはいるが、誰の人生にでも起こり得る人間の永遠のテーマである生と死→生きる意味と命の価値、或いは、生かされて生きている人の宿業と、人として存在することは、この世に生かされている事を知る旅でもあると言う作者のメッセージ伝わってくる。
人は、その命に感謝すて生き、また総ての命は死を超えた何処かでまた繋がる事を、美しい自然描写と、音楽で自然に理解出来る様に謳い上げる本作が、ジブリでなく、新海監督の手によって制作されたと言う点でも、この長編アニメが、更に次回作へと繋がり、これからの日本のアニメ界に根付いて育って行くと、映画ファンとして、とても嬉しい。
日本映画界は、世界規模のマーケットが無い為に、どうしても低予算作品ばかりで、実写映画作品には、どうしても、もう少しお金をかけたなら、グッと素晴らしい出来に仕上がり、見栄えの良い、リアリティある作品になるのになぁと残念に思う作品が多数ある中で
アニメの世界なら、表現が比較的実写作品より、鑑賞に耐えうる作品に仕上げる事が出来るのだから、ジブリ作品は、ジブリでその良さが有るが、ジブリだけでなく、より多くの優れたアニメ作品が今後多数出来る事を映画ファンとして心待ちにしているのだ。そう言う意味でも、この作品、満点を上げる事は残念ながら決して出来ないけれど、今後も、日本の長編アニメ界を担う作家の一員として、本作で長編デビューを果たされた、新海監督の記念作品として高く評価をしたい。そして私達映画ファンも、色々な作品を多数見て、映画を見る目を肥やす事で、作者のクオリティーを底上げ出来たら嬉しい事ではないだろうか!私も含めて映画COMファンの人達も一緒に映画文化を育てて行く事が出来たらこんな素晴らしい事はない!

ryuu topiann