YOYOCHU SEXと代々木忠の世界のレビュー・感想・評価
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彼もまた映像作家の一人
代々木作品はAVであってAVに非ず。
今でも代々忠作品の『恋人』は、過去に観たAV作品の中でも人間観察ドラマとして秀逸だと思っている。
極道の世界から映像の世界へ。知られざる過去の履歴を見られる前半。やがて女性の裸が前提に有るAV産業が産声を上げ、愛染恭子との出会いから。代々木忠とゆう男の“性の探求者”としての才能が開花する事となる。
オ○ニーシリーズから淫乱パフォーマンス。性感シリーズから催眠シリーズ。そしてチャネリングへ…。
性の快楽とは自分の姿をさらけ出し、パートナーとの“信頼”の上に成り立っている。
相手に身を委ねて成立する。
しかし…。
催眠までは理解出来るが、流石にチャネリングや、その後の多重人格。出演しているAV男優達へまで。
流石にそこまで行き着くと…。
「代々忠は一体どこに行こうとしているんだ…?」ってのが、当時の正直な感想でしたね〜。
いずれにしても。本人曰わく。
「どうかしてた」
「身の程を知った」…って。
今更言われてもなあ〜(笑)
この頃から代々忠作品を全く観なくなっていたので、「多重人格」等の問題から発生したある“病気”
「まさかそんな所まで!」
幾ら「さらけ出せ!」と、女性達に要求していた代々忠だが。そこまで行き着いてしまっては…。
映画本編としては。73歳の年齢を迎え※1 未だに女性の本音・本心・素顔等を暴き出そうとする現役映像作家だけに。ドキュメンタリーなれどまだまだ活動中と、終着点を設定していない。それだけに最後はやや中途半端っぽく終わってしまうのが、ちょっと残念なところ。
しかし、代々木忠とゆう類い希なる映像作家が存在している事を、世間に知らしめる良い機会になると思う。
※1 製作当時の年齢
(2011年2月24日銀座シネパトス2)
迷える、人事担当者へ
石岡正人監督が描く、AV界における孤高の革命児、ヨヨチュウこと代々木忠の波乱の半生を見つめるドキュメンタリー映画。
来年春の新人研修に使う教材選びに、今から頭を悩ませていらっしゃる企業の人事担当者様、朗報です。ここに、理想のコミュニケーションを伝え、常に貪欲に創意工夫へと挑み続ける人間の尊さを語り、果ては男女の確かな恋愛論まで教えてしまう作品を発見いたしました。それが、本作なのです。
ピンク映画という名前で発信しているアダルト作品。その発展と進化の過程にあって、必ずといって良いほど名前の挙がる名物監督、代々木忠がどのようなスタンスで映画を撮り、人生を豊かに拓いてきたか。
本作は豊富な映像素材と、撮ってきた作品群、そして代々木自身が巻き込まれてきた時代の変化、事件の詳細資料を繋ぎ、誰が見ても代々木忠という人間のもつ魅力、可能性、その深い観察力を実感できるように作られている。ドキュメンタリーとして、良質な完成品として評価すべきものになっているといえるだろう。
もちろん、テーマはアダルト映画であり、AVという特異な分野となっているために、万人に勧めることは出来ない。しかし、少し視点を変えて本作を考えてみれば、男女の間にある良質なコミュニケーションの秘訣は、そのまま全ての他人との関わり合いに応用できる普遍性を持っている。桃色ビジュアルに目をくらまされて観賞を拒絶するには、もったいない。
本作には「開放」と「共鳴」というキーワードが随所に現れる。会社で、学校で、異性間で心も、身体もきちんと相手に開くことから始まる理解と、同感(もちろん、会社であまりに開放が過ぎると警察沙汰になるので注意が必要だが)。代々木が監督作品を通じて伝えてきたのは、時代の流行を使った悩める人間の救済と、励ましだったことは、色眼鏡でアダルト映画を見てきた観客には新鮮に、かつ面白く見えてくるのは間違いない。
人事担当者の皆様。背中で後輩への励ましを伝える格好良い上司の姿、そして的確に相手の心と向き合う方法、姿勢。これが、今の貴方の会社には必要ではないですか。ならば、ぜひとも本作を、ご活用くださいませ。ただ、別の観点で研修が問題になっても、私は責任をとりませんので悪しからず。
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