「生きるためには生け贄が。」モールス ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
生きるためには生け贄が。
とにかくホラーものが苦手で、ほとんど観たことがない^^;
が…なんだかこれは無性に観たくなって、独りで観に行った(初)
原作「モールス」も、スウェーデン映画「ぼくのエリ 200歳の少女」も
まったく知らなかったが、これはホラーが苦手でも多分大丈夫。
酷い…シーンは数あれど^^;そこには致し方ない事情があるわけだ。
しかし原版を知らなかった分、ほかの映画がやけにチラついた。
例の大ヒットしたヴァンパイア映画「トワイライト」シリーズ…しかし
今作を観ちゃったら更に、アレは何だったの?という感じになった^^;
やっぱりヴァンパイア(吸血鬼)ってのは、血を吸いますもんねぇ普通。
私世代が小さい頃観た吸血鬼っていったらもう、御大C・リーのアレ、
森の中を逃げまどう美女を押さえつけーの、抱きかかえーの、真白い
首筋に牙が…!ギャー!!そして月明かり…。美女の首筋には小さな
二つの牙の跡が。。っていう、とっても古風なモノクロの映像でした。
怖くて眠れなかったですからね~ニンニクぶら下げ^^;十字架下げて^^;
あぁしかし今や…あの動き!!CG丸分かりだけど、もう獣なんですね。
今作はそういった二面性、怖い!おぞましい!ホラー的要素と、
いじめられっ子の色白の少年(これがまたキレイなんだわな、顔が)と
禁断の恋に落ちる謎の少女…っていう初恋の要素と、深々と積もる雪、
という情景も相まって、サイレントで不思議な世界観を醸し出している。
とはいえ、いじめは陰湿だし、親はしつこいし、ネットリした展開も多く、
救われるのは80年代のポップスとルービックキューブ(懐かしい!)など
当時の文化が並べ立てられているところ。閉鎖的な世界で(立場は違えど)
生きてゆかねばならない二人、という設定は相手が子供ということもあり、
観ているこちら側の胸を締め付ける切なさがある。明るい一族とは違うねぇ。
で、更にヴァンパイアは相手に招かれないと家に入れない(原題)だとか、
知識として役立つ情報も満載。寒さを感じないからと裸足でいた少女が、
人目を気にしてブーツを履いて少年と逢うところや、彼を救いたいから
襲わずに逃げ帰るところなど、生きてゆくために仕方ない狩り(だよね)を
諦める決断が潔い。だけど考えたら(原版でも200歳)共に歳をとるのはムリ。
この少年の行く末が、彼女を連れてきた父(ではない)となることが残酷だ。
すぐに「噛んでぇ」なんて言わない^^;し、そうならないのが今作最大の救い。
あ、今思い出したけど、少年を部屋に招いた際、あの父は妬いてたのね…
原作にはモールス信号を使ったシーンがもっと多かったんだろうか。
せっかくの邦題、しかしあんまり活きてなかった気がする。ラスト以外は。
それにしてもあのいじめっ子、兄弟そろって性格悪かったけど(汗)、
あそこまで色白少年をいじめまくる理由は何?思うに、案外ヤツも少年が
好きだったんじゃないの~!?なんて邪推な考えが浮かんでしまった^^;
で、そうなると「トワイライト」みたいな三角関係が…(オイ!)失礼しました。
(しかしクロエちゃん、微妙な色気がありますね。少女なんて言わせない?)