「もしも誘拐犯が良い人だったら…」八日目の蝉 harukitaさんの映画レビュー(感想・評価)
もしも誘拐犯が良い人だったら…
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ドリフのコントになりそうな題材だけど、奥が深い作品だ。もちろん誘拐は犯罪である。誘拐を肯定するつもりは毛頭ないが、4歳の子には理解できないだろう。まして愛情を持って接してくれていれば、その子にとってみれば母親以外の何者でもない。それを法律は無情にも引き裂く。「その子はまだご飯を食べてないんです」逮捕された時に叫んだ言葉はまさに母親の言葉だった…。
誘拐された悲劇、母親(誘拐犯)と引き離される悲劇、実の母親と打ち解けられない悲劇、悲劇の連鎖だ。だが、本当の悲劇はこの子の事を本気で考えてあげる人がいなかったことではないのか?誘拐犯の愛は所詮自己満足に過ぎない訳だし、実母の被害者意識に子は入っていない。不倫相手には家族がある。この子を第一に考える愛がどこにも無い。それが一番の悲劇だ。そんな悲劇に絶妙な立ち位置で存在する人がいた。小池栄子である。彼女なくしてこの映画は成り立たないのではないだろうか?なぜなら、彼女だけが真の愛をカオル(井上真央)に向けた唯一の人だからである。
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