ショージとタカオのレビュー・感想・評価
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無罪確定、おめでとうございます。
“2010年キネマ旬報文化映画部門第1位”
ドキュメンタリー作品好きとしては
(と、言うか映画なら何でも好きなんだけど(苦笑))、絶対に見逃せない!
158分と上映時間が長いこともあってか、1日2回のみの上映。
朝の第1回目に駆けつけてきました。クチコミ、そして前評判が
高いのか、ややご年配のかたを中心に7割ほど、埋まっていました。
いつもは、ガラガラの映画館なのですが、最近は好調ですね❤
★彡 ★彡
これ、題材も凄いけど、
14年間撮りつづけた井手監督もスゴイよ!
エンドロール流れ始めたとき、客電がついたとき
座席で小さく拍手しちゃったよ!そしてパンフ売場直行!
斜め読みしたら、内容も良かったしお値段も500円と、
お手ごろだったから、購入しちゃった♪
※心に残ったフレーズと気持ち
〈獄中の壁 外に出てからの見えない壁〉
〈願いが叶うのが怖い〉
“布川事件”
1967年10月
桜井昌司(ショージ)
杉山卓男(タカオ)
別件逮捕をキッカケに強盗殺人容疑の疑いをかけられる。
警察、検事に自白をするように促され(強要はなかったそうです)自白。
その後、無罪を主張するも受け入れられず、無期懲役が確定。
1996年11月12日
仮釈放で刑務所から出てきたショージとタカオを、
2009年12月15日、再審開始が確定するまで、
井手監督が見守り続けた、ドキュメンタリー作品になります。
“冤罪事件のドキュメンタリー”
わかりやすく表現すると、こうなるでしょう。
獄中生活29年。
20歳・21歳で収監。
仮釈放をされたときは、
49歳・50歳。
街並み、鉄道路線、切符の買い方、
電車の乗り方、物価、そして女性のファッション。
なにもかもが大きく様変わりし、
月並みな表現ですが、まさに浦島太郎状態。
ポンと社会に放り出され、
明るく前向きなショージ。
刑務所のほうが・・・と暗めなタカオ。
対照的な2人の姿、
2人が変わっていく、
2人が社会に適応してく、
2人に家族ができ3人、4人と増えていく、
そんな姿をあますことなく映し出しています。
158分と長尺ではありますが、
おそらくこれでも随分とカットをしたはず。
一体、テープは何本あるのかも気になります。
冤罪事件を支援する人というと、
「大丈夫だよ」と暖かい声をかけるだけ
というイメージがあったのですが、時には、
お二人に対し「どうして言っちゃったの!」とか、
「どうして他人事のように斜に構えているの」とか、
厳しい言葉をぶつける場面もあり、老婆心ではありませんが、
相手を思えばこそ、厳しい言葉を、かけてやる、なんだか意外なシーンで心に残りました。
あとは、明るい、根明かがピッタリの
ショージさんが、奥様にだけ見せたある夜の姿。
冤罪の怖さ、心を蝕んでいく恐ろしさ、
治っている、と思っていても完治していない心の傷跡
人は1人では生きられない、と改めて思うと同時に、
人が人を裁くことの怖さを、眼前に突きつけられた思いがしました。
★彡 ★彡
再審が開始され、
最初の判決が言い渡された、2011年5月24日
無罪判決。
獄中29年。
社会に出てから、
スクリーンには、
映りきらないであろう
艱難辛苦を乗り越えて来た
ショージさんとタカオさん。
そんな2人を信じて支援しつづけた人たち。
そして、なんといっても
仮釈放をされてから14年間も
2人を追い続けてきた井手監督。
どうして、彼らに注目し、
どうして、ここまで撮りつづけられたのか
作中で一切明かされませんが、
井手監督ご自身も、今作が完成にいたるまで、
言葉にならない、ご苦労を乗り越えて来られたのでしょう。
エンドロールで、
そんな無数の積年の思いが、
一気に押し寄せてきて、涙が止まりませんでした。
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