英国王のスピーチのレビュー・感想・評価
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一つの出会いが人生を変える…そして真の友は裏切らない!
去年かな、一昨年かな映画館で鑑賞してDVDも買って、今日また地上波でやっていたので、ひさしぶりにみてみました。
レビューをかいてなかったんだなぁとおもい、あわてて書き込みです。
誰もが知っている言わずと知れた名作ですが、改めてよかったです。
この話を最初にみた時に驚いたのはまずはジョージ6世のエピソード。父からは厳格な教育を受け、X脚の矯正、利き腕の矯正を施され、兄は自由奔放に育つという家庭にそだって、父には大人になってもその畏怖を感じ、兄には国王を投げ出されるという、父と兄にに翻弄された人生を送っていたということがびっくりです。そして、ウィンザーカラーでお馴染みの伊達男ウィンザー卿のビックリ仰天な投げ出しっぷりも。
そんなジョージ6世と医療免許をもたないライオネルとの、本来あり得ない出会いがなかったら、今の英国はなかったのかもなぁとかんじます。
この物語で一番感じ入ったのは、とにかく2人の友情!
ジョージ6世と対等な立場でセラピーをすることで、ジョージ6世の気負いを無くそうとしていたのか、ライオネルはとにかくフランクで英国王室の御仁に対して失礼極まりない。一方のジョージ6世はとにかく気が短く、我慢の限界を越えると怒りを露わに「そんなこと言っちゃか…」ということを平気で浴びせかける。
公園での「平民の分際で…」的な発言からの、セラピーの中止の件のライオネルの表情はとても悲しそうで、友情が壊れる瞬間って…とおもわせる悲しいシーンですが、ジョージ6世が英国王になり、戴冠の挨拶に至り、やはりライオネルを必要とする。ライオネルはそれを快く受け入れながらも、実際の演説のリハ中にライオネルの素性をしったジョージ6世はまたしてもライオネルに罵声…。
事あるごとによく罵声を浴びせて…ライオネルの辛抱強さも本当に大概だな…とおもいましたが、結局ジョージ6世は信頼して甘えて、ライオネルはそれを受け止めてきたのでしょうね。
そんなどたばたな友情ストーリーは開戦の演説のでクライマックスに。無事演説をおえたジョージ6世にたいして、ライオネルは「ちょっとかみましたね」的な発言をすれば、ジョージ6世は「私だとわかるようにわざとね」と返す。
その後国民を鼓舞するべくバルコニーに向かうジョージ6世をライオネルは遠くから見守る。このシーンが何回みても印象的ですね。
この話を歴史の一つの始まりの話と捉える人も、英国気質の王様が欠点を克服して国民のリーダーたるになるストーリーと取る人もいるとおもいますが、僕にとっては、真の友情物語なのかな…と。
そして、これが事実だからこそ深みもあって、人々は感動するのだなぁと改めて感じました。
スピーチはどきどきした
ストーリーはなんとなく先が読めてしまうものだったが、当時の英国王室の様子がとてもよく分かる映画だった。ずっとエドワード6世が特訓しスピーチに成功することが単なる目的ではなく、その後の第二次世界大戦でリーダーとしてするスピーチだったという流れがよかった。☆はなんとなくストーリーが分かってしまったり、途中のやりとりが単調でやや飽きてしまったので3.8くらいでつけたかったけど、四捨五入で4にしました。
史上最も幸せな王、ジョージ6世
これほどまでに友情、愛、成長を感じれる映画があるだろうか。
堅い映画ではない。
治療シーンでは笑えるし、ジョージとローグの会話では利いたジョークが飛び交う。
お互いの立場なんて関係ない、本当の友情をこの映画は教えてくれた。
そして妻の愛。王族の生活が嫌で2度もプロポーズを断っているが、最終的に引き受けたのは、まさにジョージを愛していたから。
遡ると、ローグを探し出したのも妻であった。
王としてより、夫として、献身的に尽くす姿は美しい。
真の愛情。真の友情。二つがあってこそ、ジョージ6世はあのスピーチを成しえたのだ。
人が成長するのに、どれほど人が関わってきたか、その人がどんな人であるか、そんなことは全く関係がない。
それを自分自身で体感したジョージ二世は、おそらく史上最も幸せな王であろう。
事実の強さ
史実が基になっている映画が好きだ。どれだけ設定に無理があっても「でも事実だから」と納得出来る。
植民地出身の平民が宗主国の王を救う為に尽力し、友の立場にまでなる。なんてそれはフィクションだ。
「でも事実だから」。
それだけに身分の差を超えた治療・練習シーン、そして主題そのもののスピーチは二人の共同作業として描かれる。冒頭で大英帝国博覧会での失敗を、国民も、私たちも見聞きしているだけに淀みなく流れるように国民を鼓舞するスピーチには感動させられる。歴史的にいってもあそこでイギリスがドイツに屈してたらヨーロッパの歴史どころか世界が違っていた可能性があったのだからとても重要なスピーチだったのだ。
「英国史上、もっとも内気な王」なんてキャッチコピーをつけられてしまうジョージ6世だが、私は幸せな人であったと思う。
確かに父は抑圧的だし兄は国家よりも自身を選び1年で退位(考えようによってはこの人は信念に生きた人とも言えるが)してしまうような人たちだ。
だが生涯の友を得たこともそうだし、妻のエリザベスは如何なる時もジョージに寄り添っていた。
結局のところ人は一人で事を成すのは難しく、誰かの支えで生かされているのだと教えられる。
そこには身分も性別もなく、只人と人の繋がりだけあればよいのだと。
ちなみに私はジョージ6世とローグの関係にイビチャ・オシムを重ねた。
きっといつか彼の「でも事実だから」な人生が映画化される気がする。
笑えて感動する。
人が王になる物語。
「まぁ、おれはないよなー」と思ってたのに、
兄が駆け落ちして、いきなりの王権神授~
しかも時代は20世紀のマスコミを使った戦争の時代。
笑って泣けるし、たまにうなずけるそんな作品でした。
ジョージ6世が克服したもの
エンディングテーマが流れる中、静かにこみ上げてくる感動、自然と溢れてくる涙…今まであまり味わったことの無い感覚だった。「英国王のスピーチ」は吃音症のため人前に出て話すのが苦手なのに王座に就いてしまったアルバート王子(のちに国王ジョージ6世)と、人前で演劇をしたかったのに叶わずに言語聴覚専門士になったライオネルが互いにぶつかり合いながらも、吃音症を克服し、スピーチを成功させるべく努力する話だ。誰にでも苦手なことやコンプレックスに感じていることが大小の差こそあれあると思う。そしてそれを少しでも克服しようと、日々努力し、あくせくしているのではないか…そんな人たちなら、きっと感動の涙を止めることは出来ないだろう。この映画の感動は吃音を克服し、スピーチを成功させたところではなく、ライオネルと国王が立場も身分も越えて真の信頼関係を作れたことを知ったからだ。国王が克服したのは吃音症では無く、自信の無さから他人も信用できなかった人間不信を克服したのだ。だから吃音の治療が成功したなどとは一言も出てこない。最後に出てくるのは「二人はその後、長きにわたり交流を深め、国王はライオネルに勲章を送った」という言葉だ。そしてこの映画の脚本家は吃音者だそうだ。私はこの映画に拍手を惜しまない。
「だが『W』でつっかえたな」「わざとさ、私だとわかるように」
映画「英国王のスピーチ」(トム・フーパー監督)から。
現イギリス女王エリザベス2世の父ジョージ6世の伝記という。
吃音障害を克服して、最後は見事なスピーチを披露するのだが、
その努力にスポットをあてた台詞ではなく、
克服後に、言語療法士と交わした自信に満ちた台詞を選んでみた。
以前の彼の経験から、英国民は息を殺して耳を傾けていたが、
予想に反して、彼から勇気づけられ、拍手喝采の渦。
そんな中、障害克服に共に歩んできた言語療法士が、賛辞とともに
「だが『W』でつっかえたな」と皮肉を言ってみせる。
それに答えて「わざとさ、私だとわかるように」と返すシーン。
私は、2人にだけしかわからない、素敵な会話だと思った。
英国王(ジョージ6世)を演じた、主役のコリン・ファースの顔つきが、
不安に満ちた覇気のないものから、自身に満ちあふれたものへと
変わる瞬間がわかるほど、声にも張りがあった。
「彼は怯えてるんだ、自分自身の『影』に・・」と原因を突きとめ、
「運動や療法も必要だが、心の治療こそ、大切だ」と主張する療法士、
こんなプレーンが傍にいて、英国王は心強かったに違いない。
スピーチ・挨拶が仕事の一部である私も、実はあまり得意ではない。
しかし、彼が演説前に呪文のように唱えた「聞いてもらう権利がある」を
参考にして、私ももう少し自信がつくまで、努力してみようと思う。
今更であるが、さすがに、第83回米アカデミー賞で作品、監督、
主演男優、脚本賞を受賞した作品である。
スピーチっつっても
原稿は他の人が書いてるんでしょ?吃音症克服という設定ですが、始まりが戦争スピーチなのが何か素直によかったね〜という気持ちになりませんでした。あなたは吃音が多少治せ、国民を勇気づけるのがお仕事かもしれませんが、戦争をして一番ひどいめに合うのは貧乏な平民ですから。吃音どころじゃありません。食事もままならない人が出たりするわけで。決して感動していい映画ではないのでは。戴冠式スピーチが素敵ならまだしも、戦争始めま〜すだからなぁ
人生万歳!友情と家族愛!自分の小さな悩みよ飛んで行け!
吃音障害に悩む英国王ジョージ6世の真実の物語と言う事で、エリザベス女王1世が他界するまでは、映画化が叶わなかった作品だと言う話しを聞いた。たとえ国王と言え、欠点をも持ち合わせる、内気な一人の人間だと言う、当たり前のその真実が、今こうして映画で明かされる事で、どれだけの人々が救われる事だろうか!
地位や権力、名誉も財産も、およそこの世で人として持てるものは総てを手中にしている筈の国王にも、実は凡人と同じように、欠点や悩みが有り、その欠点克服を目指して、日夜や努力を続けて生きていると言うその事実。その姿を観る事こそ、この世界に生きて行く事の素晴らしさを訴えかける物語として、絶好の存在ではなかろうか?
素晴らしく希望に満ちた話しで、多くの方々がこの映画で自分の欠点を受け入れ、そして許し、その欠点の克服を試みる事にチャレンジする事が出来たのではないかと、推測するのだ。
誰もが生きる中で抱えている‘思い悩み’それは、考え方いかんでは、克服出来ない事では無く、むしろその欠点克服のプロセスこそがその人の人生の生きる希望や励み、そして生き甲斐へと、昇華する事が出来、そのプロセスを誰か他の第三者が知る事で、その誰かの心の救いと励みになり、自分では分らないかも知れないけれども、大勢の人々の生きるプロセスの励みになってゆく事に気付かせてくれる作品だ。そう映画の中で「自分の影に怯えずに、きっとそれを克服出来る」と言うセリフがあった。
一人一人、生きている環境や、その能力や才能、性格、健康状態、経済状況と全く同じ人生など存在しない。そしてこの世に生を受けた人達は、みんな生きる権利を平等に持ち、その人生を存分に生き抜く事が、その人に課せられた使命ではないだろうか?
そして、この映画の魅力は、コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュと言う確かな演技力を持つスター俳優の芝居力に支えられている。
特にコリン・ファースの演じる英国王の初めの弱々しさも、ラストでは全くの別人を想わせる程の立派な国王になっているその姿は、まるで蝶の脱皮のプロセスのような美しい変貌である。そしてイギリスならではの、ウイットなユーモアたっぷりのセリフ展開により、テンポ良く観客を映画の世界へと誘ってくれる近年稀にない秀作の1本と言えると思う。アカデミー賞を獲得する事こそ、正にふさわしい作品だ。
しかし、このトム・フーパーと言う監督は、本作が3作目ということ、脚本も彼が手がけている事には驚かせられる。
このように素晴らしい作品を広く世に送り出す事が出来る英国王室の在り方にも感動を憶える。この監督の素晴らしい本作はきっとその影には、このジョージ6世の人生さながらの素晴らしい努力の人生が有った事だろうと推測するのだ。今後の彼の作品が益々楽しみである。
人は皆、多くの人たちとの繋がりの中で、その人生を互いに影響し合って生かされている。多くの人達がこの映画で、1歩でも、より良い満足を得る人生を選択するきっかけを、本作から得る事を願って止まない。映画のある人生、これも本当に素晴らしいものだ!是非この感動を分かち合って欲しい!
作品賞
とても楽しみにしていた映画。
内容は国王の演説についての映画なのだが、
一大事に民衆へスピーチをする国王としての重圧などが
とてもコミカルにテンポよく表現していると思う。
とても見やすく感動する映画。
3.11以降の天皇のスピーチが重なる映画。
愚直に、にじり寄る
「くたばれ!ユナイテッド」などの作品で知られるトム・フーパー監督が、コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュといった実力派俳優陣を迎えて描く、群像劇。
彼の後ろを、歩いてはいけない。自分を傷つける敵かと思われて、蹴り倒されてしまうから。彼に、いきなり馴れ馴れしくしてはいけない。警戒心の強さから、避けられてしまうから。ゆっくりと、敬意を示しながらにじり寄ることが、大切だ。彼とは、さて誰でしょうか。
本作は、そんな「彼」に対する誠実な姿勢を踏襲した真っ直ぐに、愚直な心が生んだ佳作である。物語が動き始める冒頭部、観客は少なからず違和感を感じるのはそのためだ。
役者の美しい顔をスクリーン一杯に映しこむズームカットに慣れ親しんだ観客にとって、作り手が主人公、ジョージ6世に対して示す最初の態度は、スコーンと空白の壁を移し込む引きの画面から見えてくる。「すいませんね、ちょっと、撮影させていただきますね?」とでも言わんばかりの他人行儀なカメラが見つめるのは、内にこもって不機嫌な表情のジョージ。
ジョージ国王がもつ苦しみを、和らげようと奮闘するライオネルの診察と同様に、作り手は焦らず、尊敬の念を持って国王ににじり寄っていく。空虚な隔たりは破天荒な治療と共にその間を埋め、熱を持ち、信頼を持ち、国王の息遣いが聞こえるまでに近付いていく。
そして、最後のスピーチ。開け放たれた窓、小さな部屋。国王の意固地な顔のアップを許されたカメラは、ライオネルの静寂なる指揮の元で、力強い言葉の飛翔を観客に提示する。その丁寧な描写、暖かな賛美、この9分間という短い演説が本当に観客の心に届くために、作り手は嘘偽り無く国王と信頼関係を築こうとしたのだ。
風吹き抜ける空へ向かって、言葉よ、勇気を持って翔べ。英国の歴史に隠された小さな奇跡を、どうやって描くべきかを考えれば、極めて的を射た演出の形だと私は思う。そして、その作り手の思いに実力派キャスト陣は的確に応える事に成功していたと言えるだろう。
「彼」は、誰か。動物に少なからず造詣の深い方なら容易に想像つくであろう。この場で偉そうに正解を語る必要も無い。
ただ、「彼」に対する誠実さを私は正しいと思う。それだけである。そう思わせてくれるこの物語もまた、私は正しいと思う。それだけである。
日本人にとって、つまりどう云う意味が?
大人の男の友情物語だと思いました。
ただ、物語に抑揚がなく、結局、おじさんが頑張りましたね~という話であって、そりゃ大変な時代ですから1つのエピソードとしてイギリス人や欧米の人には大事な事だったのかもしれませんけど、こんな小さなエピソードを大して面白くもなく紹介されたところで、あんまり感じることがなかったのです。
アカデミー作品賞
吃音の英国王と、その矯正トレーナーの交流。
全体的に静かな作品で、ラストシーンもスピーチがうまくできたという地味なものだが、吃音をテクニカルに克服しようとするのではなく、その原因まで遡ろうと信頼関係を築いていく流れが優しくてほっとする。
どこまで史実に沿ったものかわからないが、実在の人物を描いているだけにリアリティがあり、その地味なストーリーを背景事情のスケールの大きさでうまく脚色できている印象。
アカデミー作品賞として十分に納得(前年のハート・ロッカーが少々厳しかったので。。。)。
信頼関係があってこそ
スピーチの苦手な英国王と言語療法士との素晴らしい信頼関係が描かれている。笑える部分や感動的なシーンもあり、あっという間に引き込まれる作品でした。誘っても滅多に来ない主人が珍しく行きたいと言った作品です。
し、し、し、渋〜い
祝アカデミー賞!
ということで観に行きました。
派手な所は皆無の純英国映画?ですが、しっかりできています
最後スピーチを成功させて賞賛されるのは、けど、ただのスピーチでしょ!と、ちょっと突っ込みたくなるも、まあ許すか
奥様役のヘレナさんが名脇役です
英国ジョーク的なものもなかなかGOODでした。
二人の賢者。
アカデミー賞発表の前日に観に行った。
もちろん対抗馬の「ソーシャル~」と観比べたかったからだが、
よくよく考えてみれば、相反するようなこの二作品は、どちらも
他人に対するコミュニケーション能力についてを語ったような…
なにかどこかで似ている気がしたんだけど、、ハテ?^^;
で、結果はめでたく?今作が受賞し、ソーシャル~は三部門に。
こういう結果に正誤はないと思うので、個人的にどちらが好きか、
それに対してアカデミー会員たちはどちらが好きだったか、という
それだけのことだろうと私は思う^^;
私的な感想でいえば、私はソーシャル~の方が多分好きである。
でも観終えてこっちだな、とは今作を観て素直に感じたのだった。
今作は歴史的事実を丹念に(やや面白く)描いたものだが、全てに
バランスがとれている。俳優の演技、演出、脚本、サラリと淡々と
描く一方で、主人公のイメージアップ(爆)に貢献しており後味がいい。
もちろん歴代の英国王を描いたものに違いないのだから、どこぞの
変人大学生なんかより^^;観応えが悪かったらハッキリいって困る?
というわけでして…。
いやしかし~。吃音症って今作を観る限り精神的な病いですよねぇ。
子供の頃からあんなにこっぴどく父親に怒鳴りつけられ、利き手の
矯正からX脚の矯正、乳母からの虐待も…って、なんじゃそりゃあxx
奔放なお兄様の(今作ではまさにそう描かれてましたねぇ)陰に隠れ、
ひたすら目立たないように^^;生きてきたようなこのヨーク公が、何で
また王位を継ぐことになってしまったか!?コワくて号泣する夫って…
妻のエリザベスはどう、支えればいいのやら^^;という感じなんだけど
多分今作で描きたかったのはその、のちの国王を支えた二人の賢者、
妻のエリザベス(ヘレナ)と、スピーチ矯正専門家ローグ(ジェフリー)だと
思うのだ。彼らは主人公と行動を共にするが、決して出しゃばらず、
国王がひどい癇癪を起こそうが、耐えて容認する心を持ち合せている。
心や感情に傷を抱えた人間に一番必要なのは、こんな風に(母親の如く)
自身をすっぽり包み込んでくれる毛布のような存在なのだろうと感じた。
兄が既婚夫人に走った経緯も^^;父親が亡くなった時泣き崩れた身を
支えることすらしない母親(これは立場上、仕方ないのだろうが)に対して
命一杯反抗しているようにしか私には思えないのだ。本来当たり前の
愛情表現が簡単には為されない、許されない生活というのを知らない
私などからすれば、あ~これじゃあ、ああなっても仕方ないよねぇ…と
同情申し上げるしか、術はないのである^^; 王室って、、ホントに大変…
冒頭、エリザベスがローグの元を訪れ、事の経緯を話すシーン、
まさか王族とは思っていないローグの態度に、決してキレることもなく^^;
平然と切り返す頭の良さ、誇りを失うことなく相手の要求を受け入れ、
嫌がる夫を宥めすかし通院に成功、愚痴を聞いては、肩も抱いてやる。
教えるローグも、王の状態が分かるにつれ、宥めては突き放し、厳しく
優しく彼を指導し続ける。どんなに王に反抗&怒鳴りつけられても決して
挫けないこの二人の賢者あってこそのジョージ6世(善良王)だったのだと
幾度も幾度も今作は訴えかける。妻の結婚秘話なんて素晴らしすぎ^m^
ユーモアも英国調、ゲラゲラと下品な笑いは無く…と思ったら、唖然と
するスピーチ矯正術?の言い回しはあったが^^;
これはあのままほざいてOKかと。あの位大声で言いたかっただろうし。
もう内に秘めたものをぶわ~っ!と吐き出すに限るのだ、ストレスには。
チャーチル役のT・スポールや、ジョージ5世のM・ガンボンなど、
名優・個性派勢揃いの豪華な競演となっている今作だが、仰々しさが
ないのでとても観やすい。サラリとのたまう台詞にスパイスが効いていて
う~ん♪どこをとっても英国風で最後のスピーチまで楽しめる作品だった。
ひとつだけ言っちゃうと(やっぱり言うか^^;)
纏まりが良すぎて、どこもかしこも予定調和、不測の出来事は起こらない
(いや当たり前なんだけど)というあたりが、私的にもう少し…なのだった。
もっと深みが出せれば。
人物(私的に言えばローグ)の掘り下げがもっと欲しかった。彼の感情の
動き、彼にも失望や偏見など想いの丈があったと思うのだ。その辺りと
スピーチ矯正の場面、もっと面白く長々と時間をかけて良かった気がする。
さまざまな手法を試していた、あの場面。
ローグとジョージのやりとりを、私はもっと観たかったしもっと笑いたかった。
常に緊張感のある顔をしたコリンは、とても好きな俳優の一人なのだが、
彼の面白さはブチ切れる寸前まで我慢し通して崩さなかった顔が崩れた時。
…みたいな意外箇所で発揮されるので、コメディ要素をふんだんに取り入れ、
もっと笑える作品に…あ、そんなことしたらラジー賞になっちゃったかしら^^;
(ラストのスピーチ、エンドに流れるその後、…まさに素晴らしき哉、友情!)
ちょっと残念・・・
様々な葛藤や困難を乗り越え、吃音障害を克服。
そして、第二次世界大戦に臨まなくてはならなくなった国民に対して、見事なスピーチ。
感動的なシーンのはずですが・・・
スピーチを見事やり終えた国王に、周囲の人たちが拍手とともに、「Congratulation!」と声をかけます。
これって、スピーチの内容に対して?それとも、吃音障害を克服して見事スピーチが出来たことに対して?
でも、スピーチの原稿は国王が自ら書いたものではなかったような・・
しかも、これから戦争が始まるというのに。
国民は、生活も命もかけなくてはいけない事態に突入するかも・・
そういったことを思う時、やり終えたことを讃えるべきシーンだとは思えませんでした。
国王は世襲で、本人の器量で選ばれるものではありません。
でも、国民からは畏敬の念を持って迎えられ、その人の発する言葉は、時代によっては大きな影響力もありました。
日本が過去そうであったように・・
この映画を単なる吃音障害克服の映画と思えば、それなりのサクセスストーリかもしれません。
でも、見終わった後、私は、なんだか残念な思いを禁じえませんでした。
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