「事実の強さ」英国王のスピーチ Curveさんの映画レビュー(感想・評価)
事実の強さ
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史実が基になっている映画が好きだ。どれだけ設定に無理があっても「でも事実だから」と納得出来る。
植民地出身の平民が宗主国の王を救う為に尽力し、友の立場にまでなる。なんてそれはフィクションだ。
「でも事実だから」。
それだけに身分の差を超えた治療・練習シーン、そして主題そのもののスピーチは二人の共同作業として描かれる。冒頭で大英帝国博覧会での失敗を、国民も、私たちも見聞きしているだけに淀みなく流れるように国民を鼓舞するスピーチには感動させられる。歴史的にいってもあそこでイギリスがドイツに屈してたらヨーロッパの歴史どころか世界が違っていた可能性があったのだからとても重要なスピーチだったのだ。
「英国史上、もっとも内気な王」なんてキャッチコピーをつけられてしまうジョージ6世だが、私は幸せな人であったと思う。
確かに父は抑圧的だし兄は国家よりも自身を選び1年で退位(考えようによってはこの人は信念に生きた人とも言えるが)してしまうような人たちだ。
だが生涯の友を得たこともそうだし、妻のエリザベスは如何なる時もジョージに寄り添っていた。
結局のところ人は一人で事を成すのは難しく、誰かの支えで生かされているのだと教えられる。
そこには身分も性別もなく、只人と人の繋がりだけあればよいのだと。
ちなみに私はジョージ6世とローグの関係にイビチャ・オシムを重ねた。
きっといつか彼の「でも事実だから」な人生が映画化される気がする。
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