「友人の意義とは?」英国王のスピーチ スモーキー石井さんの映画レビュー(感想・評価)
友人の意義とは?
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これは第二次世界大戦前の''どもりのバーディ''こと英国王ジョージ6世と''ヤブ言語聴覚士のライオネル'’ことローグ医師の実話を元にした成長と友情をテーマにした物語である。
近隣諸国にてスターリンやヒトラーといったスピーチによる人身掌握に長けたカリスマたちが活躍する中、
幼き頃のトラウマにより吃音症となり、王室や皇帝が不安定な時代背景と奔放で王族としての自覚に欠ける兄に悩まされながらも、献身的な妻と友人の助けにより、
立派な王へと成長するジョージ6世の葛藤の克服をユーモラスかつドラマチックに描いている。
皮肉にも王としての最初のスピーチはポーランドへ侵攻したドイツへの戦線布告のスピーチだったのだが。
特に印象的だったシーンは、妻エリザベスとローグ医師の初対面の会話のシーン。
「王族ゆえの隷属状態」をシニカルに表現した二人のセリフのやり取りはとても印象深い。
それは我が国も決して他人事ではないからだろう。
個人的にはそういう事情も理解することこそが国民としての立場の品格ではないか?と考えさせられた。
時代の流れで憲法上「臣民」という呪縛からは解き放たれたとはいえ、「シンボル」とされる一族が存在する以上は我々も守るべき節度はある。
そんなことなんかも考えさせられつつ、本作は
一人の男の「闘病劇」以上の感銘を与えてくれた。
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