「ほんのりと幸せ。」奇跡 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
ほんのりと幸せ。
子供を撮ることに定評のある是枝監督、今回は漫才兄弟のまえだまえだを
使って、実にのびのびとした子供時代を撮ることに成功している。
ただし昨今の、「いかにも子役」ちゃんたちが醸し出す世界観はまるでない。
アイドル化した動物たちが「いかにも」目線でカメラを見るような仕草もない。
そういった、完全化されたドラマ性を求めると…エ?何も起こらないじゃん。
という肩透かしを食らうことにもなる作品。でも、自分の子供時代を思えば、
あったんじゃないのかなぁ??こんなバカみたいな冒険とか、秘密行動とか、
親に嘘つく時は必ず「誰誰ちゃんの家で勉強会」^^;って、この常套句大好き。
奇跡が起こるから面白いんじゃなくて、奇跡を起こそうとするその行動力が、
いちいち子供らしくてい~じゃないのv私はこういう夢を持った子供が観られて
とても嬉しい。子供たちが夢に向かってキラキラしている姿は本当に愛らしい。
つまんねぇ。とか意味ねぇ。とか言う前に、旅にでも出てみなさいって、少年!
成長したいのなら、まず行動だ。(なに勧めてんだろ、私は^^;)
さて。。この兄弟くんが於かれた状況はけっこう過酷だ。
なんでこう…離婚するときに子供を分けたりするかなぁ~?といぶかってたら、
なんと!弟の意志で父親についたのだという(爆)なんでぇ?^^;
一緒に暮らしたくて仕方ない母親と兄は、なんとか弟を取り込もうとするが、
当の弟くんはどこ吹く風♪気ままな父親と自由を謳歌しつつ、過酷な現実にも
向き合っていた。弟くんの意見はこうだ。父親と母親がケンカばっかりしてた、
あの同居生活に戻るなら今の方が幸せだ。ちゃんと上手くやっとるで。ときた。
母親に逢いたい、兄貴に逢いたい、の前に家族の在り方を見極めてしまった。
このオトナ感^^;
そして兄の方はといえば、常に周りを大切に、家族の幸せを第一に、自分が
どうにかしたるねんで!と兄としての役割に対する責任感が強い。長男てのは
こういうものだろうな…まずは自分が。まずは頑張らねば。あ~この頼もしさ^^;
実の兄弟、ということもあってそのあたりは実に自然に演技ににじみ出ている。
ともすれば、漫才ギャグ?になりかねない芸達者な浮わつきを、周りの子供が
一気に素人まで押し下げる…^^;この絶妙な(爆)素人台詞や子供らしさもいい。
いや、ある意味この子たちも、見事に玄人→素人に為りきっているワケだけど。
子供目線で語るいい加減な夢や未来、奇跡、お金のやりくり(爆)ホントいいわ。
オトナになって…歳をとって…汚くなる(って言ったら聞こえが悪いけど^^;)
その手前、一生懸命何かを目指したり、まっすぐに諦めないで頑張ったり、
やめておきなさいよ。と思われることにも夢を描ける創造力は素晴らしい。
その、バカで下らなくて親に心配ばかりかけてきたような行動の一つ一つが、
それから何十年か経ってこんな風に映画やドラマや小説なんかになってみると、
同年代が皆して涙ぼろっぼろに流して(爆)喜び懐かしめるお話になるんだから。
子供時代の想い出は、み~んな宝物になるんだよ、少年!
今作では思いきり脇へと流されたオトナ名優の皆さん^^;、
彼らの見守る演技態勢も良かったですねー。かるかん作ったおじいちゃんv
ぼんやり。。うっすら。。あ、ほんのり!!なんてイイ言葉なんだろ。
幸せも未来も、まさにかるかんのように…ゆったりと、完成されるんじゃないの。
それでいいんじゃないかと思う。
今の子供たちは頭がいいから(爆)実際に起きていることを本当は理解している。
どうにもならない世知辛い現実も、本当はオトナ以上に敏感に感じとっている。
それでも笑顔で頑張ろうとする子供たちに何かを教えられた気分になる作品だ。
そうだ世界平和、奇跡を祈ろう、少年!
(こんな可愛い子供たちが生まれてきたことが奇跡。生きていることも奇跡。)