奇跡のレビュー・感想・評価
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しっかりした子供達と、あったかい大人
お兄ちゃんが自分の部屋を自ら掃除するところ、
弟が自分で朝食食べて、ゴミ出しして、お父さん起こして仕事に行くところ、等。しっかりしていて逞しい!それでいて子供らしさも全開!
周りをとりまく友人たちもいい感じ。対等な関係って感じやね。
こんな子供時代いいなあと少しひねた子供時代を過ごした当方からは羨ましく映った。
阿部ちゃんも「デリカシーはないが根はいい教師」が演じられていた。こんな先生好きだな。
下記のくだりでは思わず吹き出してしまった(笑)
「エグザイルは職業なのか?」
「昆虫は職業なのか?」
謎のパワー
祖父のお菓子作りに対して「好きなもの作って商売やってる人なんていないでしょ」というセリフがある通り、是枝監督にとっては好きで作ったんじゃないような作品じゃないかと思う。
確かに大枠のテーマに家族があるという意味では他作品とも共通するような印象もあるが、どこか主人公前田兄弟が発するテンションに合わせて構成されたように見えるストーリーは、他の作品に共通してみられるいわゆる是枝節とは味わいが異なっている。
簡単に言うと、他の作品においては中年側の視点の成長が描かれているのに対し、本作は珍しく子ども側の成長にフォーカスを合わせていて、その点においては「誰も知らない」に近いと言えば近いのだが、テイストはまるで違っている。
難点としては、クライマックスに向かう物語の接着/または一番描きたかった主人公の成長との物語の接着が妙に甘く、「んなわけあるか」と思ってしまうようなシーンが多かった。
ただ、本来そういうのが気になると物語に没頭できない私が、何故か文句なしにのめりこめるぐらい強力に美しい冒険が描かれていた。
特徴的だったのは子どもたちが本当によく走っていたこと。大人は急いでいる時以外は絶対に走らない。しかし、彼らは頻繁に無邪気に走り、その度にそのスピードをもって感情を伝えてきていて、ところどころ、ただ彼らが走っているだけで感動してしまっていた気がする。
子役主体の難しさかしら
地方を舞台に染み渡る作品になるはずなのに、製作手抜きとは思いたくありませんが、なぜか深く入り込めずに空ぶかし感が多いままでした。子役それぞれの方の表現は、決して大人よりも目立たせることなく、それぞれの置かれた生活環境下の平々凡々の中において、セリフはあまり多くせずに、従順さ、懸命さ、疑問、悩みの様子の表現から、ひとすじの道筋に向かって成長する姿を表現していただきたいなあと思いました。
子供たちの冒険と成長が微笑ましい
子供でも十人十色様々な事情と願いを持っている。その願いを叶えるために奇跡が起こる都市伝説のような話を信じ、子供なりに知恵を出して冒険をする。大人からしたらささやかな冒険でも、それは子供達を成長させる。冒険の中で、自分の願いに少しだけ客観的に向き合い成長する姿がとても微笑ましく感動した。いい映画でした。
スタンドバイミーのよう、キャストも豪華です
お笑いのまえだまえだ、彼らは今、俳優として動き出しています。
当時は小学生でしょう。初主演映画?是枝監督がキャスティングなのかな。いい演技でした。
橋本環奈、福岡出身だから抜擢なのか、彼女にとってもターニングポイントなのかも。
ひいき目に観ていますが、10年ほど前の作品なのに、子供心の冒険心を持って観て欲しい作品です。
子供の成長は輝かしい
社会風刺、時には厳しい現実を突き付ける是枝作品の中でも、物語全体通して明るい作品で、少し面食らった。親の離婚により、それぞれ離れ離れで暮らす兄弟だが、互いに良い友達にも恵まれ、強く生きている。そこに悲壮感はなく、特に弟は年頃なのに母親にも甘えるところもなく、逆に母親が寂しがる。当たり前の感情だと思うが。兄も一家四人で再び暮らすことを願っているが、ラスト結局願わなかった。何か吹っ切れたのか、旅行後のそれぞれ子どもたちの成長した顔が眩しい。分からなかったのは鹿児島に帰ってきた時、リュックの中を見て、3人一斉に走り出したのは犬が生き返ったのか??だとしたら、思いっきりファンタジーに振ってほしかった。エンドロールで橋本環奈を見て、初めて気付いた。
【”家族4人で、又一緒に暮らせるように・・” 九州新幹線全線開業の日に起こる”ある”奇跡を信じて、”子供たちの冒険”を描く・・。現代邦画を支える若き日の女優さんたち、多数出演作品でもある。】
ー両親(大塚寧々&オダギリジョー)の離婚のため、鹿児島と福岡で分かれて暮らすようになった、兄、こーちゃん(前田航基)と弟、龍之介(前田旺志郎)とその友人たちが、”奇跡の瞬間”を観るために、子供たちだけでの小旅行をする姿を軸に、様々な家族の姿を明るいタッチで是枝監督が描いた作品。-
・兄、こーちゃん(航一)と弟、龍之介は離れ離れになっても、携帯電話で日々、話をする。危なっかしい両親に比べ、二人は健気なまでに大人っぽく振舞う。”お父ちゃんを頼むで!””お母ちゃんを頼む!”
こーちゃん(航一)は桜島の近くに住んでいる事に対し”意味わからん…”と呟く日々。龍之介はミュージシャンの父を家事をして、健気に支える。
が、二人に悲壮感はない。
・ある日、九州新幹線全線開通日、鹿児島から福岡に向かう新幹線”つばめ”と”鹿児島に向かう新幹線”さくら”がすれ違う際に奇跡が起きるといううわさを聞き、二人は有る行動を計画する・・。
ー家族をテーマに映画を撮り続ける是枝監督作品の中では、明るいトーンの作品。子供たちの生き生きとした姿や、彼らから見た”大人”に対する言葉が面白い作品。ー
・龍之介の友人、恵美(内田伽羅:樹木希林さんの孫で、お父さんは‥あの人。今作後、名作「あん」で成長した姿を見せてくれる。)は、女優になりたいが、母恭子(夏川結衣)は“先輩”として、冷静に見ている。
ー龍之介の友人には、今を時めく橋本環奈さん(小学生かな)や平祐奈さんもいる。”羨ましいぞ!龍之介!”-
・更に、二人が通う学校には美しい先生が・・。
サチ先生(長澤まさみ:ショートカット)の生足を見るマセタ子供たち。
優しい保健の先生には、中村ゆり・・。
ー羨ましいぞ!君たち!(すいません・・)-
<そして、奇跡の瞬間、子供たちはそれぞれの夢を叫ぶが・・。子供たちの一夏の冒険を描いた作品でもある。>
<2012年 DVDにて鑑賞>
<2020年 別媒体にて再鑑賞>
軽羹
内容は、少年達だけで旅をする、所謂「スタンドバイミー」もの。
兄は、みんなの願いはきっと同じだ、と信じて旅に向かい、
弟は、ただ兄貴に会いたいが為に(寧ろそれすら無いかも)旅をする。
その旅に出る動機付けが不充分かな。
「奇跡が起こるんだって」
まあ子供の言いそうな台詞なんだが、
今時そんな夢見がちな子供の方が希少じゃないか?
無理に子供達を会わせなくても、
福岡と鹿児島で、それぞれがお互いを想っているだけの方が、
話の抑揚は出来た気がするが、
そうすると、是枝映画じゃ無い様な気もする。
この「奇跡の起こる」場所への旅以外(前菜、デザート)は結構好き。
でも主菜(メインテーマ)は変な味がした。
JRのプロパガンダと見られても仕方ないかも。
主演のまえだ兄弟は、良くもなく悪くもなく。
大人達は是枝ファミリー含め、抑えた演出。
今回の橋爪さんは好きな役だな。この人台詞少ない方が合ってる。
特筆すべきは、まえだ弟の友人の少女。
1人は本木雅弘の娘、つまり樹木希林の孫、内田伽羅。
複雑な役をちゃんと演じていて立派でした。
ただ、おばあちゃんは孫が居る所為か、いつもより張り切りすぎ。
もう1人は橋本環奈。確かにカワイイがさすがにまだ小学生。
この話で初めて鹿児島のお菓子、軽羹(カルカン)を知った。
「何かぼんやりした味やなぁ」(弟)
この映画自体が、軽羹の味の様な気がした。
食べたこと無いけど。
DVDでの観賞がオススメ
劇場観賞だと聞き取れないシーンがあります。
一番肝心な新幹線がすれ違うシーンですね。
何度も何度もDVDを戻して子どもたちが何を叫んでいるのか耳をすませました。
(字幕を出してしまう安直な方法は避けましょう)
やっと聞き取れた瞬間は鳥肌ものでした。
是枝監督は、「万引き家族」他でも肝心のセリフを靄(もや)の後ろに隠す不思議なところがあるな。
眩しい
大人には大人の事情ってやつがあるかもしれないけど、子供にも子供の事情がある。僕達に無断で勝手に離婚なんかしてんじゃねーよと思いつつ、それでも与えられた毎日をキラキラと過ごしていて、子供って無限だなあと久しぶりに羨ましく思いました。その辺によくある家族の話だけどひとりひとり想いは違うんですよね。そして子供達よ、塾に行かないで遊びなさい。
交通費を捻出するため奮闘する子供たち。どこで新幹線がすれ違うかと...
交通費を捻出するため奮闘する子供たち。どこで新幹線がすれ違うかと研究したり、もちろん親には内緒なので、学校を早退するにはどうするかといった相談をする姿が微笑ましい。計画自体が頓挫するかと思えば、かなり決意が固い子供たち。朝一番の列車を見に行くのだから、泊まることまで考えなければならないのに、そこだけは行き当たりばったり。警官に質問されながらも、女優になりたい恵美が機転を効かせて、ある老夫婦(高橋長英、りりィ)の家に孫だと偽りたどり着いたのだ。このくだりがとてもいい!泊まった子どもたちはまるで修学旅行のようにはしゃぎまくりだったけど、老夫婦にとってはこれが奇跡だとも言えるくらいの嬉しい出来事だったのだ。高架ばかりの新幹線を見るためのトンネルの上まで送ってくれるほど優しかった。
奇跡なんて起こったら、ハリウッド映画と変わりない。是枝監督の真骨頂、台本なしの素の演技とベテラン俳優の確かな演技を絡み合わせ、時折見せるドキュメンタリー・タッチの演出によってリアル感を増しているのだ。すれ違う瞬間、願いを“せかい”に変えてしまった航一だったが、これもまた面白い。そして龍之介は父親が音楽で成功することを願ったおかげで、帰宅したとき幸せな表情を見れた。彼らが帰宅の途についたとき、子どもだった頃にした冒険のようなものを思い出すほどノスタルジックな作品。
お笑いコンビのまえだまえだもなかなかの演技だったけど、一番光ってたのは内田伽羅。本木雅弘と内田也哉子の娘なのだ。しかも実祖母の樹木希林も出演している。彼女の女優になるという夢がこの映画で叶ったんだな~
懐かしさや感慨も起こるが、無駄が多すぎる作品
映画は監督だけのものではないが、これが是枝さんの作品と言われれば、物足りなさも期待外れ感もあるし、“らしさ”もあった作品だったと思う。
生活感のようなリアリティを土台として、離婚や子供の心情にフォーカスを当てる意図は分かる気がする。観ていて安心感がある。
ストーリーを語る作品ではないし、流れや話の筋をどうこうは思わない。主張や結論なんか無くてもいい。
ただ、前田まえだの2人の演技なのか、"子供らしさ"のような嘘くささ、そこまで馬鹿で純真ではないのでは、という疑念が観ているあいだ、ずっと頭にあって気になった。くるり、の歌は好きなのでエンドロールはほんわかしたが。
序盤のほうでオダギリが言う台詞に「世の中には無駄なもんも必要やねん。全部に意味があってみ、息苦しいで。」というのがある。まさにこの映画に当てはまると思った。無駄が多い。多すぎる。
そのあとの弟の台詞をそのまま言いたくなる。「無駄だけじゃあかんやろ。」
チルアウト系是枝映画の良作
是枝映画の中でもマイナーな作品だと思いますが、結構な逸品ではないでしょうか。
本作は『海街Diary』寄りのチルアウト映画でした。仕事帰りに飛び込んで鑑賞したため、のんびりしたムードが心地よく、前半は爆睡してしまいました。かろうじて覚えているのは、兄と弟が見た夢が、まるで正反対だったことくらいです。
兄は家族4人で暮らすことを夢見てますが、弟はぜんぜん思っておらず、福岡で楽しく適応しているのがイカしてました。弟たくましいですね〜。
また、ミュージシャン崩れのダメ父親をオダジョーが演じていたのですが、だらしないイケメンを演じさせると右に出るものはいないですね。クズ野郎だが優しい男なので、弟もともに暮らすのが楽しいのかもしれませんね。しかし、子ども手当でテメーのギターを買おうとしているのはいただけないぜ。
後半の冒険パートも楽しかったです。熊本で見知らぬおじいちゃんおばあちゃんに世話になるという超ご都合展開がありますが、ご都合展開がむしろ逆に心地よかったです。まぁ、全編にわたりご都合感は否めず、しかしそれがクオリティを下げているわけではないのが良いです。
子どもたちの演技も楽しげで好感を持ちました。女優を目指す女の子が目立ってましたが、あれで小4は無理があるのでは。また、女優の子よりも絵が好きな女の子の方が美少女じゃないの、と思って観ていましたが、鑑賞後に橋本環奈だったと知り、おったまげました。
小ネタも効いているし、総合的にハッピーな良作でした。前半寝ないで観ることができたら、もっと良さを体験できたかもしれません。残念。
痛いくらい純粋な子供たちと何かを失った大人たち
奇跡を信じる子供たちと、それと対比されるかのように描かれる大人たち。でも、みんな愛おしくて、不思議と胸が締め付けられる。きっとあの頃には戻れないけれども、今を歩いて行こうと思える作品。
そして樹木希林さんとその孫の伽羅さんの存在感。もちろん主演の前田前田の二人も良い。かんなちゃんは可愛い。ほかのキャストも出番は少ないがいい味を出している。
樹木希林さんご冥福をお祈りします。
離婚は子供にも悲しい影響を与える。
『奇跡』(2011)
上映当時、子供の兄弟漫才で人気のあった、「まえだまえだ」が映画出演という触れ込みがあったように追想するが、九州が舞台ではあるが、東日本大震災の年の映画である。これを2018年に観るわけだが、子供は特にこの7年は大きい。10歳が17歳になる。現在のそれぞれの「まえだ」がどういう感じなのか、調べないし把握していないが、7年は大きい。出演している橋本環奈なんかは大変化なのだろう。今年は広島や岡山や四国など西日本の広域な雨の災害が起きた。どうも2011年という年では、大震災を意図してしまう。そして、監督は是枝裕和。今年は『万引き家族』でカンヌの映画祭の最高の賞を得た。2011年は、これが上映されていた。タイトルはえらく映画にしても物語にしては、根本的な、たくさんありそうな言葉のそのもののタイトルである。『万引き家族』の影響ではないし、まだ観ていないのだが、是枝作品はこのところ、『海よりもまだ深く』と『そして父になる』を観たばかりである。それらもそうだが、家族の不安定がテーマだったりして、これも、両親の離婚から、兄弟が鹿児島と福岡で離ればなれになる。クランクインが東日本大震災発生より早かったのかも知れない。上映は6月にしている。もっと具体的には私の誕生日だったみたいで、大震災後すぐの誕生日がどうだったのかは今もう思い出せもしないが、鹿児島の桜島の噴火について兄がこだわっていて、東日本から北日本へは、上映当時は災害について語るシーンはちょっとどうだっただろうか。『あん』も観たはずだが、本木雅弘の娘が出演しているのは、思い出せない。これも調べた後なのでなんとなくわかった。是枝はドキュメンタリー映画も随分撮影したらしいが、子供のセリフのシーンが、一人一人が、ドキュメンタリーの問いかけられた後のような撮影の方法なのは一体どういう意図なのか。意図も別にないのかどうか。兄のほうが、母親の実家に戻ったのか、鹿児島で、祖父が橋爪功が演じ、祖父が樹木希林なわけか。本木雅弘の娘は樹木希林の孫でもある。弟は父親と一緒に福岡県にいる。子供たちは両親のよりを戻したいと思っている。両親はオダギリジョーと大塚寧々が演じている。メインはなんだか電車がすれ違う時の願い事が叶うとかで、兄弟それぞれ友達たちと学校をうまく早退して、その遂行なのか。子供たちが家出して冒険するような話になるが、警官に見つかるのに、老夫婦の大きな家で、本木雅弘の娘が孫だというと、老夫婦もそれに応じてしまうという、危険性のある話でもあるが、それで返されずに冒険は続く。九州に新幹線が走るという背景があったのか。それにしても、願いをかなえるための冒険の発端が、両親の離婚というのは悲しい。しかもここに複雑な心理があるが、兄弟とも、四人一緒に再び暮らせますようにと願わずに、別れる。離婚は子供たちにとっても悲しむべきことだ。
子どもは強かに生きる
過去に囚われながら生きる大人とは違う世界にいる。
引き取られた先で、随分な感覚の違いを見せる兄弟の姿は悲しい。
作品としてはまとまった形で、誰が観ても大きな不満はないのではないか。
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