「ここまでつまらない映画は、金返せと貴方は泣く?それとも笑う?」SOMEWHERE Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
ここまでつまらない映画は、金返せと貴方は泣く?それとも笑う?
映画俳優といえども人間だ。人として悩みもあれば、苦悩もする。分からないではない。
しかし、この映画ファーストシーンから車を只走らせるシーンで始まるのだが、これが、同じ処を何周も回る。見ているこちらもイライラする。それが狙いで、その後も主人公ジョニーが住むホテルで、ストリッパーもどきの踊り子が彼の部屋で踊るシーンが延々と続く。ベッドの上で踊り子を眺めている彼はそんな光景に飽きて寝てしまうのだが、正直こんなシーンの映画を見せられている観客も寝入ってしまいたい!!そう思わせたならもう感情移入させる事に成功したとでも言うのだろうか?こちらは、映画代を払っているのだ。この映画は娘と父との心の交流を描いた作品と言うけれど、それにしては娘と父との会話も少ない、会話を本当は沢山交わしたい筈の二人が上手く楽しい会話を交わす事が出来ない悲しい心情をリアルに描いているのかも知れないが、離婚しているのか、只の別居をしているのか判別出来ないが、普段は会う事が少ない父と娘であるのなら、娘が会いに来た時くらいは、父が子供に対してもっと積極的にアプローチする努力をするべきではないか?それが出来ない悲しみと言うことか、全編うつろで、空虚、退廃的な生活感は漂うが、それを何とか打開しようと試みる姿勢のかけらも見られない映画にどうして、賛同しろと言えるのだろう!F・コッポラと言えばハリウッドの巨匠だし、その娘が、そこそこの映画を撮っていれば映画賞は、取る事が出来るのかも知れないが、観客にはそんな因果関係はどうでもいい。
映画や小説は、本来人間の内面を浮き彫りにして見せる事、それが芸術なのか?人間には、弱い人間もいるし、成功者ばかりではないし、現代では特に、仕事に於いて好成績を上げている人間を成功者と仮に言うならば、成功者と呼ばれる人間の数は極限られている。
そんな中で、金と名声を掴んで傍目には成功者と人々の憧れの的である映画スター親子の、淋しく、虚しい日常をリアル描き出している秀作と言うのには、余りに不親切である。このジョニーが自分の殻を何とか打破しようと、苦闘する様を描くでもなく、淡々と虚しさを募らせる生活ぶりを追うだけの映画である。これは極特異ケースで、観客と言う一般人の心に響いて伝わる要素が見当たらない。苦しみの無い人間はいない。その中で、こつこつと自分の人生に格闘し、生きて行く姿に他人は感動し涙し、称賛するのだ。この映画は、何の救いも無い。金を出した、貴重な観客の時間と言う人生の一部そのものを浪費させるこの作品は、どんな映画賞を受賞していても、私は良い作品とは思わない。
ソフィア・コッポラがいくら映画界のサラブレッドであっても、セレブであってもだ。
これは、莫大な予算で作られた、自主制作映画だ!いくら映像美に優れていても。
映画は大衆娯楽である。普通の一般人の気持ちにシンクロ出来ないそんな不親切な映画は、商業映画として存在価値はない。
映画を撮影したいなら、どうぞ勝手に撮って下さいな!でも自宅で楽しんで!と私は言いたい!!!