「息を押し殺しながら、崩れないように」SOMEWHERE あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
息を押し殺しながら、崩れないように
2010年アメリカ映画。98分。2011年13本目の作品。ソフィア・コッポラ監督の最新作で昨年のベネチア映画祭の最高賞を取った作品。
内容は:
1,ハリウッドスターの男は妻子と別居中。
2,そんな彼はホテル住まいで放蕩三昧。
3,ある日、そんな生活に娘が期間限定であずけられる。
この作品の魅力はずばりアンニュイ。予告編の印象からてっきり親子のメロドラマかと懸念してたが、ふたをあけてみれば要はうだつのあがらない男に視点の中心があてられ、娘との交流はエンディングに向けての要素という感じで扱われているのが印象的。
魂の救済といったら言い過ぎかもしれないけど、本作は茫洋とした生活に区切りをつけて再出発するまでの物語。そんな茫洋さを描かせたらこの監督さんは本当にうまいです。ひとつひとつの描写が気だるく、無意味そうに見えるけど、それが瀬戸際でなんとかつながってストーリーラインになっている。けっこうスリリングなアンニュイさ。
まさしく匠の技です。
やっぱり、この監督さん好きです。
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