劇場公開日 2010年11月6日

  • 予告編を見る

「爆笑必至のロドリゲス版『マーズアタック!』」マチェーテ 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0爆笑必至のロドリゲス版『マーズアタック!』

2010年11月21日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

知的

監督、ツッコミ切れません!!

初ッ端からクサ過ぎる台詞の応酬や、どー見たって主人公に見えないトレホ兄貴に爆笑。
なぜか主人公にだけ一発も当たらない銃弾の嵐といい、『実は身内が敵と通じていた!』という王道過ぎる展開といい、最初の5分で座席から転げ落ちそうになるくらいのスーパーB級映画っぷり。無論、確信犯である。
更にはあの風貌のトレホ兄貴が(失礼)、M・ロドリゲスとJ・アルバとL・ローハンとその他大勢のお姉さんに迫られるというパラノーマル・アクティビティも発生する(失礼)。

いちいち突っ込んでたらヘトヘトになってしまうくらいにツッコミ所満載だが、活劇としての面白さもなかなかのもの。敵の〇〇をロープにしたり敵を鉈で4等分(!)したりアホなアイデアたっぷり。メキシコからの密入国をテーマにした、ブラックユーモアの利いた展開も良い。
ただ、エグい描写も満載なのでその辺は要注意。女性受けはしない映画だろうなあ。あとは後半、ちょっとテンポが落ちるのも残念。

本作はタランティーノとロドリゲスの共同企画『グラインドハウス』で作られたフェイク予告編が元ネタ。
フェイク予告編を見直してないのでその再現度が如何ほどかは分からないが、予告編の中で一番好きだった神父のクサカッコいい台詞——「神は慈悲深い。私は違う」——はきっちり納められていた。律儀ですねぇ。

ティム・バートンの確信犯的B級SF『マーズアタック!』も超豪華キャストが出演していたが、『マチェーテ』も凄い面子が揃っている。
その中には僕が大好きな名優R・デ・ニーロもいるが、彼の序盤の演説シーンで何やら違和感が……あれ、デニーロってこんなに声高かったっけ?
風邪でも引いたのか、デニーロ。大丈夫なのか、デニーロ。
そこまで考えてハッと気付いた。この声、プレッツェルを喉に詰まらせたり靴を投げられたりした例の大統領にソックリだ!
よくよく見ると表情まで真似て、そりゃもう楽しそうに“あの人”を茶化している。
さすがだぜ、デニーロ!
その後もカウボーイファッションで銃をブッ放したりタクシードライバーになったりとハシャギまくる名優の姿に笑いが止まらない。

いやー、こんなカルトな雰囲気じゃごく一部の需要しか見込めない映画だろうが、その“ごく一部の需要”の期待には確実に応えてくれる映画ですね。
ロドリゲス監督よ、あんたホント、とんでもなく馬鹿な秀才だわ。

<2010/11/13鑑賞>

浮遊きびなご