「映画の持つエネルギーに圧倒された」CUT ちゃんこさんの映画レビュー(感想・評価)
映画の持つエネルギーに圧倒された
アミールナデリの作品は、ファンタジーだ。
彼の映画には、映画という虚構だからこそ、生まれるエネルギーがある。
アミールナデリの魅力は、過去の作品からもわかるように映画という虚構の世界にいる人々の物語が解き放つエネルギーだ。
「駆ける少年」、「水、風、砂」「マンハッタン・バイ・ナンバーズ」・・・「ベガス」全てが、現実には到底有り得ない不可能を映画という虚構の世界で可能にする。
愚直なまでに純粋で単純に表現している。
あれだけ殴られるなんて生きてるなんて有り得ない。
映画のために借金を負って死ぬなんて設定は、有り得ない。
現実に有りえるわけない!なんて現実の尺度で、ナデリ映画を語っても意味がない。
有り得ないを映画で可能にするのがナデリ映画なのだから。
映画という虚構から生まれる確かな実感がある。感動だったり、驚きだったり・・・映画が与える実感。つまらないというのもある意味で映画から受ける実感。
ただ、CUTには、他の映画が解き放たない得体の知れないエネルギーを放出している。
よくわからないエネルギーを実感できる。
間違いなく、これは映画だけが放つあるエネルギーだ。
そもそも映画の中で映画史ベスト100を勝手にやるなんてアイデア自体が意味不明。
だが、これを実現させるのが、ナデリ映画の魅力。
最後の15分が解き放つエネルギーは圧巻だ。
まぁ、このナデリエネルギーを拒否する人もたくさんいると思うけど。
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