「笑えて泣けてアツくなれる最高のドラ映画。アツさを共有したい。」映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 はばたけ天使たち らびさんの映画レビュー(感想・評価)
笑えて泣けてアツくなれる最高のドラ映画。アツさを共有したい。
再上映で見てきました。
数あるドラえもん映画の中でも屈指の名作だと思います。
できるだけ多くの人にこの映画を見てもらいたいので頑張って感想を書きます。
【ピッポとのび太の友情がアツい】
この映画では「友達」がメインのテーマとなっているため、他の映画以上にのび太が友達を思う気持ちにグッときます。
新作オリジナルのピッポですが、登場して大正解でしたね。キャラクターとしても可愛いし、のび太との相棒役としてピッタリでした。
はじめはのび太の敵だったピッポですが、のび太がピッポを必死で探したり怪我しながら守ったりと友達として大切にしてくれることで、最後は「のび太を守りたいんだ」と自らを犠牲にして敵の進軍を止めます。たとえ自分が危険でも友達を助けようとするのび太とピッポがとてつもなくカッコいい。それだけに最後の別れシーンの感動もひとしおなのです。
ピッポがドラえもんに「なぜロボットなのに人間と仲良くしているんだ」と聞くシーンがあります。のび太たちは「友達になるのに、人間とかロボットとかは関係ない」と即答で答えるんですよね。のび太だけでなくジャイアンやスネ夫もそう答えるのもアツい。このことを聞いて、「ロボットと人間は友達になれるんだ」というのび太の思いがピッポに通じたのだと思います。
湖のほとりでのび太がピッポに向かって「ピッポと戦うのは、いやだよ」と言ってピッポが号泣するシーンはマジで感動。
鉄人兵団が攻めてくることを大人たちは誰も信じてくれなかったのにジャイアンやスネ夫はすぐに信じてくれたというシーンからも、この映画では「仲間の友情」を大切にしてるんだなということが伝わります。
【しずかちゃんとリルルの友情もアツい】
本作メインキャラクターのリルルも、最初はのび太たちの敵として描かれていましたが、ピッポやしずかちゃんの「人を思う心」に触れて変わっていきます。本作はのび太とピッポ、リルルとしずかちゃんといった2組の友情が別々に描かれるところがいいですよね。
この二人の関係がまたいいんですよね。しずかちゃんも、時には拒絶されながらもリルルを懸命に看病します。友達を助けるのに理由なんかいらないんですよね。「時々理屈に合わないことをするのが人間なのよ」というしずかちゃんのセリフは、その矛盾こそがロボットたちとは違った人間の良さなんだよということが伝わる名シーンです。
リルルとピッポの昔からの関係が描かれていたのもよかったです。キャラの深堀り最高。しずかちゃんに対しては「敵を助ける意味がわからないわ」と言っていたリルルも、昔に自らのカケラを使ってピッポを助けていた過去があったのです。その自分の行動にもしずかちゃんと同様、意味なんてなかったのだということを思い出します。ピッポやしずかちゃんの心に触れることで「戦争マシーン」だったリルルが変わっていき、最後には「人を思う心」を始祖のロボットに与えることができました。
【シリアスとコミカルのギャップがすごい。めっちゃいいバランス】
本作は敵ロボットたちのデザインや声優さんの演技が素晴らしく、効果音やBGMも迫力あるものになっているため戦闘シーンやシリアスシーンは本当に引き込まれます。最後のピッポとボスとの闘いの演出にはシビれました。動きも凄いし、あえて無音にすることで迫力が増していました。ボスの声優さんは本当に上手ですね、怖いくらいの悪役を演じてくれていました。
一方でめちゃめちゃ笑えるシーンもたくさんありました。特にのび太ママとのかけ合いは最高でした。ザンタクロスを組み立てるときも、千秋さんの神曲「ニャバダ・ワンダフル」の効果もあってとてもワクワクします。劇場でも度々笑いが起きて素晴らしい空間でした。
【ラストシーンが神】
最後は鉄人兵団とのび太たちが戦うのですが、まず迫力がすごい。兵団の怖さがしっかり描かれているので、こんな軍勢に立ち向かっているのび太たちのすごさがよく伝わります。
そしてしずかちゃんとリルルが過去に行って始祖のロボットの心を改良することで現代のロボットたちをいなくさせようとします。ここで博士の言うように、「競争心」ではなく「他人を思いやる力」こそが天国のような世界を作るのに必要だというのは本当にその通りなんですよね。
ここのリルルとピッポが語り合っているシーンが最高です。心を改良すると自分たちが消えるのをわかっていて、それでもしずかやのび太を助けたいという思いが勝るんですよ。ピッポがボロボロになりながらのび太を守るところは音楽も合わさってヤバいですし、博士が答えなくなってリルルが「どうしたら…」というときにしずかを見てハッとするところもヤバいです。そのまま最後のお別れのシーンで「その名前、大好きだよ…」「友達に、なってね…」で消えていくところで一気にやられますね。劇場のあちこちですすり泣く声が聞こえていました。
そして戦いが終わって、のび太が学校でドラえもんと会話するシーンがあります。
「リルルとピッポは生まれ変わったのかな」「そりゃ、天使のようなロボットになってるさ」
窓を見るのび太の前に二人の影がバサッと映って、驚いたのび太がそれをみんなに伝えに行こうとするところでエンドロール。最高かよ。
そしてその時のピッポは美しい鳥になってるんですよね。「もっとかっこいい姿になりたかったピヨ」と言っていた願いが叶ったのでしょうか。
そんで主題歌が神。まさかBUMPが歌ってくれるとは。BUMPはいつもそうなんですが、歌詞がアニメの内容にドンピシャにハマってるんですよね。もう最後のエンドロールを見るだけでも映画を見る価値があります。
総じて、アクションもキャラクターもドラマも作画も演出もすべてが最高でした。こんなに心を動かされる作品に出会えて、ドラえもんファンでよかったと心から思います。