キッズ・オールライト : 映画評論・批評
2011年4月20日更新
2011年4月29日よりシネクイント、TOHOシネマズシャンテ、シネ・リーブル池袋ほかにてロードショー
カリフォルニアの陽光に照らされて、万物が微笑んでいるホームコメディ
ロサンゼルス郊外のヒルサイドに暮らす愛すべき4人家族が織りなす、心温まるホームコメディの小品である。その4人は、レズビアンのカップルである2人のママたちと、匿名の精子提供を受けて産まれ、今ではティーンになった2人の子どもたち。ところが、その子たちの生物学上の父親(精子提供者)が現れ、小さな家族に小さなきしみが生まれる。
リサ・チョロデンコ監督による脚本(共同脚本:スチュアート・ブラムバーグ)は核心を突いていて、このクローゼット(隠語としてゲイ&レズビアンに関する意味もある)にしまい込まれていた、ちょっと進歩的な小さな家族の些細な弱点をダシにして、小さな笑いを丹念に積み重ねている。おまけに、ジョニ・ミッチェルの「ブルー」LP盤や菜園で獲れるオーガニック野菜やテーブルに置かれたカリフォルニアワインといったすべての小物までもが、彼らの衣食住の豊かさを雄弁に物語っている。どれひとつとして無駄なシーンがない。
この一連の悲喜劇のとっかかりをつくる自由気ままな精子提供者役のマーク・ラファロが絶妙な笑いを誘っている。対する厳格なしつけを子どもたちに課すママ役のアネット・ベニングは、そのラファロを気ままに泳がし、この小さなホームコメディに至妙な間をもたらしている。大団円のシーンでは圧巻の名演を見せ、作品に風格すら植え付けているのだ。
聞けば、わずか500万ドルで撮られたインディーズ作品だが、人もモノもすべてのイメージが豊饒で、暖色系の色彩で彩られている。まるでカリフォルニアの陽光に照らされ、フィルム自体が微笑んでいるかのよう。見ているこちらまで愉しくなる。
(サトウムツオ)