ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人のレビュー・感想・評価
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貪欲な姿には感動すら覚える
上映終了後に監督による緊急挨拶有り。その際に、「2人はニューヨークアート界に咲く一輪の花」と表現する。
地位や名誉。果ては投資目的等は一切無く。ただひたすらに現代アートの収集に情熱を注ぐ、ハーブとドロシーの似た者夫婦。
作品を買う基準は、自分達の住む小さなアパートに入る大きさ。それが自分達の払える一万円程度と安い上に、何よりも欲しくなる位「好きだから!」と分かり易い。
作品を喰い入る様に見つめるハーブと、夫の後ろで一歩引きながら冷静に作品を見つめるドロシー。アーティストとのコミュニケーションを密に取り。且つ他のコレクターとの決定的な違いは、作品が変化して行くアーティストの成長過程を見極め様とする。更にコレクションを自分の手足の様に、身体の一部として切っても切り離せない存在の如くに愛おしむ。その情熱と、良い作品を見抜く審美眼に他ならない。そこが単なる投資目的のコレクターとは一線を異にする。
だからこそアーティスト達も2人を信頼して安い予算で作品を提供する。
その膨大なコレクション自体が、やがて2人を生きた現代アートの伝説として賞賛する。しかしそれでも2人は全く変わらない。飾らず・驕らず・ただ淡々とコレクションを増やし続ける。
最終的にコレクション自体がどうなったのか?…は映画を観て貰うと解りますが、「パソコンは要らない!」と言っていたドロシーが、最後自分に送られて来るEメールもコレクションしようとする、その貪欲な姿には色々な意味で感動してしまう。
何よりも2人がとってもキュートだ。
(2010年11月14日【シアター】イメージフォーラム/シアター2)
コレクター夫妻の軌跡。
アートに造詣が深い訳ではないが、そんな人にもウケるほどの
素敵なコレクターご夫婦の物語。
いわゆるアート収集家の一般人なのだが、現代アートに寄せる
その想い、情熱、執念は凄まじいもので、それが収集へ繋がる。
元・郵便局員の夫ハーブと、元・司書の妻ドロシーの30年間。
自分達の好きなアートを収集していたら1DKのアパートには
なんと4,000点を越える作品が溜まってしまい、もう入らない。
そこで美術館に寄贈するところまでをインタビューを交え描く。
監督はニューヨーク在住で、
これが初監督作品の日本人女性ジャーナリスト、佐々木芽生。
まったく存じ上げなかったアート界の巨人を日本人が紹介すると
いう稀有な作品でありながら、分かり易く個性豊かに魅せている。
(大豪邸じゃないところがお見事。コレクターって案外そうだよね)
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