劇場公開日 2011年12月10日

「素材は実写よりもアニメ向き」源氏物語 千年の謎 CRAFT BOXさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5素材は実写よりもアニメ向き

2014年11月5日
PCから投稿

萌える

源氏物語をベースに、源氏物語そのもののストーリーと、紫式部と藤原道長をめぐる創作ストーリーを絡めつつ、同時並行的に物語が進行していく。さて、制作者は本作で何をしたかったのか、サッパリ理解できない……などと思いながら見ていたら、終盤には紫式部を六条御息所とリンクさせ、さらに安倍晴明まで登場させてホラー仕立てになっていく展開に。
こんな構成なら、アニメにした方が面白く出来たのではないか。

いまや邦画界で絶対的な業界トップを突っ走る東宝が「源氏物語」を掲げたので、源氏物語絵巻を堪能できると期待したが、三流小説レベルの妄想の世界にゲンナリした。紫式部と道長の恋愛関係を創作したフィクションは特別に新しいものではないが、もう少し何とかならなかったのか。何より脚本構成がお粗末だが、それ以外にも酷い。セットの撮影も、今どきの東宝でこれほど箱庭的な映像しか撮れないのは、相当に予算がないのかやる気がないのか。

東映が2001年に制作した『千年の恋 ひかる源氏物語』も酷かったが、今の邦画界には「源氏物語」に現代的解釈を加えて、正面から描ききるだけの力量はないのだろうか。もちろん、超長編の物語なので、1作目からシリーズ化を視野に入れて壮大なスケールで描いて欲しいのだが……。

女優陣も、あまり誉められたものではなかった。真木よう子は好きな女優ではあるが、桐壺/藤壺を演じるようなタイプではないし、そんなイメージを覆すような演出にもなってなければ、本人の演技も殻を破ったとはおよそ言えるものではない。多部未華子の葵もイメージとは違うが、何よりも六条御息所を演じた田中麗奈をキャスティングするセンスを疑う。

コメントする
CRAFT BOX