まほろ駅前多田便利軒のレビュー・感想・評価
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多田便利軒はアルバイト募集中
まったく期待しないで、前知識なんにもなしで見たけど、
面白かった。
多田と行天のおかしなコンビ?
行天と中学以来、再開したことで、さまざまなトラブルに巻き込まれていくけれど、
そこかしこに「くすっ」となる笑いのエッセンスが満載で
最後まで楽しめました。
あんな便利屋さん、うちの近くにもほし~!!www
まほろの便利屋はスーパーマン
非常に単調で結局結論というものがないです。
が、
この単調な中の2人の絶妙な掛け合いは妙に気持ちよく
まったりと観るには最適な映画。
この2人、アヒルと鴨のコインロッカーでも競演していましたが、
こちらの映画では、あんなにどんでん返しもありませんので
安心して観ることができますよ。
素材はいいのに、ただ ただ かったるい
便利屋の多田は、真面目で受けた仕事はきちんとこなす性格。暗い過去を持つ経験から、時間の重みを知る。
対して行天は、いい加減だが、時折、物事の本質を突く。決して思慮深いのではないが、核心を突く先天的なものを持っている。
それでもいい加減で奇怪な行動を取る行天に、多田は翻弄され、しかもその危うさを放って置けないというのが、主人公ふたりの関係だ。
そこに“まほろ”の人々が絡む。バスが間引き運転しているのではないかと疑う頑固爺さんの岡だの、ヤクザの星といった厄介な人物の相手も便利屋の仕事のうちだ。
便利屋を中心に起こる小競り合いを描きつつ、架空の小さな町“まほろ”で生きる人々の、まったりしたあったかみを出す。それさえクリアしていればエピソードはなんでもありというのが、タイトル「まほろ駅前多田便利軒」の骨格だろう。
ところが、この基本部分が崩れている。人物描写といい台詞まわしといい、かったるいだけだ。“まったり”と“かったるい”は違う。
オープニングの音楽は雰囲気があるが、画ヅラが安直で芸がない。
もうひとつ、小競り合いの結末は人情味があるオチでなければ、“まほろ”のほろ苦い温かみが出てこない。そうして考えると、真に描きたい人物は行天ということにならないだろうか。
行天の奇怪とも思える行動が、実は物事の核心を突いていて、周りの人々が翻弄されながらも徐々に行天という人間を理解していくという本筋が見えてくる。
多田と行天では、行天が頭半分飛び出た演出が必要なはずだ。ふたりのキャスティングを見ても、ひとクセありそうで掴みどころのない雰囲気を持った松田龍平を行天に振ってある。松田の持ち味を充分に引き出したとは思えない。
岸部一徳ももったいない。こんな意味のない使い方をした映画は観たことがない。
かすかな温もりがじんわり
とりとめないようで、大きな痛みも小さなクヨクヨも、まとめて引き受けてくれる包容力が素敵でした。
かすかな温もりがじんわり残りました。
芯までは簡単じゃないかも、だけどギュッとしてあげたら、してもらったら、きっと温もってくるんだよって。
重くて出口も分からないような内容を含んでいながら、あのユルい空気。便利軒の二人を演じる瑛太と松田龍平の相性が抜群でした。
自由人を演じる松田龍平は本当にいいです、大好きです。あのプラプラ歩きが許されるのは、今のところ日本では彼だけじゃないかって気がします。
スリムクラブ的間合い
いい悪い、好き嫌いを別にして、個性的作品だ。
多田と行天の会話。スリムクラブ的間。小津より長い。
個人的には好きくないけど、悪くもない。
便利屋多田くん1年の物語。でも、ただの1年じゃなくて行天という嵐が吹き荒れた1年。
多田くんは飼い主が消えて押し付けられたチワワを捨てられない人間。
親から塾の迎えを依頼されたガキに「助けて」って言われたら、
ヤクの売人にも対抗する。デカには「いい気になるなよ」って言われるけど。
行天も人助けでわざと刺されちゃったりして。バッカジャネ。
嵐は過ぎ去るのみで戻ってこなくていいのに。
登場人物けっこう多いけどみんなキャラがたってる。
何度観ても違う角度から観れる作品かもしれない。
21世紀型人情映画の最高傑作だ!
この映画全体に貫かれているテーマは「人生、やり直しはできるよ、ただ
可能性は少ないけど。。。」って感じかな。
多田も行天も、ルルやハイシーも由良も凪子もシンちゃんも、みんな同じ
テーマの中で自分の人生を演じている。そして、この人たち、何かしらの
「傷」を持っている。ややもすると、諦めたくなるような人生のギリギリ
感が全員にある。だがしかし、まほろ(町田)という東京でも神奈川でも
ない「この街」はすべてを受け入れてくれる。
それは何故か?それは、まほろの街全体がもつ「懐の深さ=人情」ではなか
ろうか。
実にいい映画だった。配役も大変よろしい。久々の大傑作だ。
ただ、あまり世間には話題になっていない。しかし、それ自体がこの映画
らしいし、非常にまほろ(町田)っぽいのだ(笑)。
すべてが人情で流されて(許されて)しまいそうな緩さ(弱さ)、それが
「多田便利軒」なのだから。
ずっとずっと、胸に残る映画。
瑛太と松田龍平演じる二人の男(いや、なぜか演じられてる気がしないのだけど)いま、こんな男が一番求められてるんじゃないかな。こういうやさしさ。励ましじゃなくて。
愛想振りまくでもなくぶらっとしてて、でもなんか気さくで、電球取り替えてほしいなんてことから、とても切実な依頼まで、頼りたくなる人。最も優しい距離を知ってる人。そこに居て、気にかけてくれる人。そんな二人が主人公の、やさしい映画だ。
きっと続編があるにちがいない。そしたら、二人はきっとあのボロビルの前の舗道に椅子でも出して、日がな一日、ぼーっとそこに居てくれるだろう。彼らは傷ついたあと、閉じるのではなく、町の端っこに、出て行くことを選んだ。それが希望。たぶん何年たっても忘れられない映画。
事件らしい事件がない事が、事件なのかもしれない
『傷だらけの天使』から続く凸凹コンビの裏稼業モノを期待していると、請け負うヤマはどれも地味で淡々としており、物足りない。
オチャケ犯罪ドラマの系譜を漫才の歴史で例えると、松田龍平の先代である松田優作主演の『探偵物語』が現代漫才のパイオニア島田紳助・松本竜介ならば、今作の松田龍平・瑛太はダウンタウン通り越してスリムナイトのテンポに通ずるやり取りに期待感は戸惑いに変わる。
しかし、ビートの遅さに慣れ、ヤマの裏に複雑怪奇な人間模様が垣間見えた時、今作の真の醍醐味に気付く。
「事件らしい事件がない事自体が事件なのだ」と。
眠たいけど、退屈ではない緊張感は、主演2人の他に、犯人も被害者も警察も子供も関係無く関わる全てのキャラクターがどこか感情がズレているセンス。
そして、その全てが純粋なる親子愛に行き着く。
自分の居場所を求め、さすらい、結局、街に戻ってしまう感情は、親に愛を乞う子供の本能と表裏一体なのかもしれない。
では、最後に短歌を一首
『街角に 転がる契り(千切り) ノラは乞ひ 傷だけ宿し 振り向く夜に』
by全竜
愛をあげよう、失くした分だけ。
まほろ、えきまぇ、ただべんりけん♪
と唄うあの予告編を観て、あらら〜やたらと気持ち良さそうな映画だなあと思ってたけど、
やっぱり気持ちいい映画でしたねえ〜。
街の便利屋とその居候兼ね助手(?)が、ちょっとお節介なその性格で、
仕事を請け負った先の人々を少しだけ幸せにしてゆく物語。
この映画の瑛太と松田龍平、2人合わせるとなんだか猛烈にユルい
フィリップ・マーロウ(有名な探偵小説の主人公)みたいだ。
いや、松田龍平がいるんなら『探偵物語』の工藤ちゃんを挙げるべきかな。
この映画は、映画の中に漂う空気がとにかく気持ち良い。
昼下がり、目を瞑って、日の光や風が肌に当たるのを感じながら、
外でぼんやり突っ立っている時のあの心地良さ……。
まあそのものズバリなシーンが何度か劇中に登場するんだが(笑)、
あのふんわりのんびりした空気が、ちゃんとスクリーンの向こうから伝わってくるんです。
それと、魅力的なキャラと、暖かくて何だか笑えるエピソードの数々。
小生意気すぎる小学生・ゆら公、
からっと明るい娼婦ルルとその仕事仲間、
話の分かるクールなヤクザ・ホシくん、
池乃めだかみたいな捨て台詞を吐く激弱シンちゃん(爆)、
その他大勢の、微笑ましく、けどちょっと寂しげなキャラたちが素敵。
そして主人公たち。
ぶっきらぼうで、なんだかんだ言いながらも困っている人を放っておけない多田と、
ほけ〜っとしてて突き放したような物言いもするが、実は誰よりも優しい行天。
傷を抱えた2人だから分かること。
みんな寂しくて、
誰かに必要とされたくて。
愛を失くしたと感じたなら、
愛されてないと感じたなら、
その寂しさを知っているのなら、
せめて人には愛をあげよう。
失くした分だけ、自分が欲しかった分だけ、
ま、とりあえず、手の届く範囲で。
そういや最初に引き合いに出した探偵マーロウがこんな名ゼリフを残している。
しっかりしてなきゃ生きていけない。
優しくなれなければ、生きてる資格が無い。
観終わってから、ふんわり優しい気持ちになれる、愛すべき映画だった。
前の日の仕事から抱えてたムカムカした気持ちがすうっと消えてくのを感じましたよ。
人間、気張らず優しくいれればいいや、なんてね。
ところで瑛太のあの早口のセリフ——
「誰の真似でもない正直な気持ちだ」
他のお客さんがいなかったらひとりで爆笑してたな。
<2011/4/23鑑賞>
こんな男性達にあいたい
付き添いでたまたま試写に行ったので、あまり期待値はありませんでした。
しかしどんどん、このゆる~いまほろに包まれた空気に引き込まれている自分がいました。
もう、松田龍平がとにかくツボに入った。
こんな純粋な、瑞々しい男性達を見るれることはそうそう無いと思う。
女子力があがりそう。。
劇場じゃないと、こんな気持ちになんないんだろうけど
演技のテンションが極めて低く、冒頭から睡魔に襲われてしまいました。しかし主役のふたりの演技は凄く素晴らしい!
偶然知り合った元同級生でバツイチの男ふたりが繰り広げる便利屋稼業ぶりを、1年にわたって一月ごとのショートストーリー風に綴った作品。
全体的に、ヤマナシオチナシに近く、演技のテンションが極めて低く、冒頭から睡魔に襲われてしまいました。そのくせ突然キレる台詞が出てきたり、ギャグを噛ましたり、まるでナンセンスものの舞台劇を見ているような感じでした。
大森監督は、あまり観客に媚びないタイプの監督のようで、その場面でどうしてあのような台詞や演技を出させたのか、余計な説明をせずに、観客の感じたままに任せる手法を随所でとります。その観客を突き放した演出が、余計に本作が何を語っているのか分かりにくくしていました。
原作は直木賞を取ったベストセラーながら、そのまま映像化したのでは、設定の無理がより印象的に浮上してしまいます。
やはり映画化するのに、脚本と演出でどう料理していくべきかがポイントですね。
それでも松田龍平と瑛太の演技は圧巻です。なかでもラスト近くに、産まれて間もない息子を死なせてしまい妻と別れた過去を語り出す10分近くの長回しのシーンを独りで独白した瑛太の演技には舌を巻きました。台詞を噛んだり、よどんだ言い回しが目立ち本来ならNGシーンでしょう。でもそれがかえって多田の気持ちをよく表して、凄く印象深い仕上がりになっています。
産まれて間もない息子を死なせてしまい妻と別れた過去を持つ行天を演じた松田も、何を考えているのか分からないなかに、しっかり過去へのトラウマを感じさせる哀愁を見せつけていました。ふたり共に謎に満ち、飄々としていて全くつかみどころがない難しい役柄だけに、ふたりの好演が、脚本のマイナスをカバーして、要所要所で見せ場を作り上げます。
全編を通じて流れているものは、親子の関係。特に親に愛されずに育った行天は、自分に子供が出来ることを拒絶。それでも女医の妻のたっての要請で精子を提供して、娘が生まれてしまいました。「契約」で生ませたわが子に父親らしい愛情を注げない行天は、深い罪の意識を抱いて、母子から別れて逃げていたのです。
そんな行天をほっとけないのが多田でした。行天の妻から事情を聞き出し、「自分には与えられなかったものを、新しく誰かに与えることはできるんだ」と行天に迫ります。
でも、多田は自分自身のことを行天に介入されるのは嫌いました。それだけのことで、なんと行天の共同生活を打ち切り追い出してしまうのです。
共に暗い過去を抱える二人は、人と出会い、寄り添いながら生きて行くことで希望を見出そうとします。一端は別れたように見えたふたりは、ラストで一歩踏み出します。そこには幸福が再生し続けることをかろうじて感じさせてくれました。
それにしても、便利屋の仕事で送迎を担当した小学生が、お小遣いで麻薬の売買の手伝いをさせられるという途中のエピソードにはびっくり。それを指示させているヤクザに、多田は警察に通報するぞと脅して、手を引かせます。普通なら消されてしまうところなのに、なんとかヤクザとも良好な関係になってしまうところは、ちょっとリアルティのなさを感じてしまいました。
ところでキャストが豪華なのは、大森監督が役者一家に生まれて、幅広い人脈を持っているからではないかと推測します。ちなみに父親は、本作でも登場する麿赤兒。弟は、大森南朋。
瑛太・松田龍平が好演!!
主演の二人がすばらしかった。
普段あまりみないような解放した演技の松田龍平を、
しっかりと腰を据えた演技の瑛太が、どっしり受ける。
そんな二人の息の合った演技が本当によかった。
また、脇を固める俳優陣がみなすばらしく、
高良健吾は少しの出演ながら存在感抜群だったし、
松尾スズキの怪優ぶりにほんとに笑った~。
劇場でもう一度観たいと思う、イイ映画でした。
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