「毎日かあさんでいられるように。」毎日かあさん ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
毎日かあさんでいられるように。
西原理恵子の作品、原作コミックは大して読んでないのに^^;
なぜか映画だけはみんな見ている…(爆)
しかも、どれを観ても私は泣いている。女だから、なのか?
どこをとってもドツボにハマる。なんでこんなに巧いのよ~。
そして今作は、彼女の日常をリアルに綴った「毎日かあさん」
アニメ化もされているが、実写になると胸に迫るものがある。
特にカモシダ…あの荒れ様はどう見たって恐ろしい。怖すぎ。
あのダメ男を擁護し続けた西原の人格は更に恐ろしい、のか^^;
永瀬&小泉、元・夫婦が共演することも話題になった。
キョン2が「どの面下げて…って思われちゃいますよね。」って
TVで語っていたが、いやはや、彼らだからこそ!の共演だった。
細かい目線や表情や態度、愚痴を言うのもケンカをするのも、
元・夫婦のあ、うんの呼吸に唸ってしまった。そしてそこには…
おそらく自分達の生活とダブってしまうところがあったのでは?
と思える感情の往来が見てとれるのである。私ら世代は彼らの
結婚も離婚(会見)も覚えている。彼らに子供はなかったが、
今作では二人の間に可愛い子供達までいる。なにか、疑似と
いうより、本当の家族を見ているような気分になってしまった。
しかし面白い一家である。マンガになるのも頷ける。
かなり古い言い回しになるがいわゆる『肝っ玉かあさん』の風情。
サイバラにはそのすべてが備わっている。
仕事だけでもあの忙しさ、加えて二人の子供の面倒、夫の面倒
(これが一番酷いが^^;)、実母に助けてもらいながらも全てこなす。
毎晩お酒をあおり、麻雀も得意、毒舌、だから何よ?とさえ思う。
こんだけのことをやっている女なのだ。しかもそれをまたサラリと
「毎日かあさんは、世界中の女がやっていることだ」と言い放つ。
いやいやサイバラさん、私はアナタほどのことは出来ていないよ^^;
あんな地獄を味わっても、絶対に家族を見捨てない、その責任感。
そうだ。彼女に備わっているのは家族を守り通す責任能力なのだ。
家を建てて、生活費を稼いでればそれで済む話ではない。
妻の責任とは、この先どんな事があっても、夫と子供を守り抜く、
決意と行動力の賜物。周囲に何を言われてもたじろがない強さだ。
ロクデナシをロクデナシと罵る毒舌の陰で、折れても倒れても救う、
なにかあればすっ飛んで行くその行動力。ないよ、今時の女には^^;
みんな自分のことばかり考えて、幸せにして貰うことばかり考えて、
腐った相手をもっかい立て直してやろうなんて、思いもしない(私も)
だから、こういう物語が必要なんだな、と思った。
しかしこの物語には、そんな説教くさい言い回しなど、ない(爆)
元・夫が死ぬまで病室はブラックな笑いに包まれ、湿っぽさは皆無。
だからこそ、あそこでボソッと云うカモシダの台詞が活きる。
当のキョン2も試写を観て泣けたという。サイバラの娘も泣いたらしい。
いや、決して泣かせようという演出ではない。泣けてきちゃうのだ。
おバカな同志が、あんなにやせ細って、自分より先に、逝ってしまう。
サイバラ自身、どうしようもなくカモシダが好きだったんだと思う。
こんな奴のどこが!?と運命を呪いつつ^^;おそらく大切に思っていた、
その「戦友」との別れが、辛くないはずがない。夫婦って初めは惚れた・
腫れた・着飾った・ブチ切れたを毎回繰り返し、そのうち相手の全てを
網羅すると、あとは穏やかな関係に落ち着き恋愛感が薄れてゆくもの。
そして、いつからか「同志」あるいは「戦友」のごとく友愛や愛着のような
男女を越えた感情が芽生えてきて、最期までヨロシクね。と寄り添い…
これだけおかしなサイバラ家だが、その総てをやってのけたんだもの。
さすがだ、毎日かあさん!!サイバラさん!!
(ブンジもフミも可愛いなぁ♪おっとしゃーん、おっかしゃーん、って^^;)