「99年を費やし、到達した結論は、《死の美学への全否定》」一枚のハガキ 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
99年を費やし、到達した結論は、《死の美学への全否定》
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反戦を謳っているが、生々しいメッセージ性はさほど重くなく、クジ一枚で戦地を易々と決められ、命を簡単に見捨てられる戦争のバカバカしさを徹底的に描いており、皮肉っぽい滑稽な人間描写が多く、意外な面白さを感じた。
出征式で見送るや否や、速攻で、お骨が返ってくる異様なスピード感こそ、戦争が如何に無意味で非情な愚行であるかを象徴していると云えよう。
恋敵の大杉漣との格闘場面は、ちとオーバーで違和感たっぷりだったが、女をめぐって殴り合っている時の方が、同じ闘いでも、戦争なんかより遥かに生き生きとしていて、人間らしいと教えてくれて、劇場内は笑いが多くこぼれた。
戦争後、同じ境遇を悲しむのではなく、笑い飛ばすエネルギーを大切にしなければ何も始まらないというメッセージは、体験者でしか作れない貴重な説得力やと思う。
改めて、戦争はキチガイの極みやと実感したところで最後に短歌を一首
『夏の背を 御國の為に 見送れば 待ちぼうけのクジ 風情なく抱く』
by全竜
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