「いい意味で金の掛かったテレビ映画時代を代表する時代劇」のぼうの城 ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
いい意味で金の掛かったテレビ映画時代を代表する時代劇
80年代90年代にあった時代劇からくらべると、本当にエンターテイメントに徹した時代劇ができたと思う。『十三人の刺客』もそうだったけど、これは今の半分金のかかったテレビ観にくるような感覚の観客を満足させるに足る映画だったのではないか。正直これくらいお金をかけて面白くできるなら、もっと長時間でもいいと思ってしまう。肝心の水攻めの段取り、決壊前後など、おそらくもっと描写できたし、実際には撮っていたりするんじゃないか。見世物としての映画を凄く意識していたし、共同監督ということで、“監督様”の芸術でなく、アニメに近い、エンターテイメントとしての細部が見えたし、もっと見たかった。
もちろん不満はいくらでもある。キャストがテレビ過ぎ、演技が過剰気味、なんだかんだいって度肝を抜く演出がある訳ではない。しかし、そこを捨てて、見世物、キャラ立ちで攻め切った『のぼうの城』は充分な満足感があった。
コメントする