「ステキな余韻を。」ステキな金縛り ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
ステキな余韻を。
死語とは言わないが^^;
最近あまり「ステキ」って使われなくなったよな、と思う。
単純かつ明快かつ美しい褒め言葉なのに、おいそれと使えない
気恥ずかしさというか幼稚さというか…おそらく今の男性陣でも
女性にステキ!って誉められたら大喜びすると思うんだけどな。
さて、三谷幸喜の舞台劇…じゃなかった、映画。
毎年のように観ていると、年々映画っぽくなってきてるなーと思う。
相変らず台詞重視のシチュエーションコメディは連続するものの、
かなり狭い世界だったりするものの、映画らしい情緒が出てきた。
彼自身が映画好きなのもあるのだろうが、俳優たちに芸をさせる
だけでなく、どう場面に溶け込ませるかが分かってきたような感じ。
気負ってスベリまくる舞台演技もあれど、さすが西田敏行あたりは
押しも引きも自在に演じ分けている。彼の存在は確かに可笑しいが、
いかにも幽霊な存在で終わっていないところがナイス。より人間的
で歴史に残りそうな人物像を(見せモノでなくて)ちゃんと作っている。
大笑いしたあとに、何やらジ~ンとくるものがあるということは、
その場面が自分の脳裏に余韻として残っているということである。
映画では、それはすごく重要なことなのだ。
舞台もそうだろうけど、そんな余韻が名場面として語り継がれていく。
今作の中でJ・ステュアートの「素晴らしき哉、人生」と「スミス都へ行く」
が何度も使われるが(上映時間まで!)名場面には事欠かない二作品。
しかしまぁ~豪華なキャスト。(エンドロールまでまだ出てくるぞ^^;)
説明するのも憚られるほどの人数をよく捌いたものだと感服する。
主演の深津絵里と幽霊・西田とのやりとりに大笑いし、阿部ちゃんの
意味不明なタップに噴き出し、中井貴一の仰向け犬戯れの図に爆笑、
前作でナイフを何度もナメナメしたあの男!(役名通り)まで出てくる。
通行人だけでも凄い面子を出してくるし、これ、ギャラ総額で幾らに
なるんだろうか…なんて考えてしまう。かなりステキな金額に違いない。
舞台では始まりと〆がしっかりキマるように、
今作も冒頭~中盤~後半~ラストまでの運びまでが非常に心地良い。
やや長い?上映時間だが、飽きずに観られるのもなかなか。
大切なものは目に見えない、とよく言うが、逢いたい時に逢えない不遇
を、ハーモニカという武器?にのせて、纏めたところもなかなかステキ。
巧くいかない人生を嘆く前に、幸せな人生を歩む自分を思い描くことで
自信を持つことが大切だ。後押ししてくれる誰かが背後にいるのかも…?
(霊感がまるでない私は幸せなのか?いや、バカなのか^^;鈍感なのか^^;)